日本ではホワイトカラーの労働生産性が低いということで政府主導による働き方改革が提唱されています。働き方を根本的に直すことは大事かもしれませんが、まずは仕事や行動に対する考え方を直してみてはいかがでしょうか。
私は日本人はパーフェクト、つまり完全を求める姿勢が強すぎる傾向があるのではないかと思っています。何に対しても100点を目指すことは効率性を大きく阻害する悪い行いです。
何事も効率性や投下労力の経済効用が最も高いところを狙っていくのが良いと思います。そこで提唱するのが70点主義です。本日は70点主義について解説します。
目次
70点主義のメリット
70点主義のメリットを以下に説明します。
要旨とポイントは抑えることができる
例えば作成する文章が誤字脱字だらけだとしましょう。それでも内容を相手に伝えるという意味では用は成します。大きな意味合いを伝えるという目的を十分に果たします。
投下労力に対する効用が高い
事務処理や資料作成において最も手間がかかるのが最後の詰めの部分や訂正整理です。これを手間暇を無駄にかけながら行えば確かに素晴らしい完全な作品が出来上がります。ですが、作業というものは、進捗率が70%を過ぎたあたりから急激に効用が低下します。
皆さんも経験があると思いますが、例えばテストで30点の成績を70点にするのと70点の成績を100点にするのとどちらが大変かを考えてみてください。70点を100点にする方が膨大な手間暇がかかることが分かりますよね。完全を求めるということはそれだけ要領の悪いことをしているということを表しています。
品質的な面で言うと、70点を大きく下回る品質は印象が悪いため敬遠されます。よって手間を惜しんで品質に妥協しすぎるのもよろしくありません。
品質や報酬と成果、それとそれに投入する時間と労力を考えると68点~72点あたりの効用が最も高いものとなります。
資格や関門の合格点は大体70点合格である
勉強や大学の単位、資格の合格点で一般的に最も多いものは70点です。大学の単位も70未満は不可、70点以上を合格としますし、検定などもそれに準ずるものが多いと思います。
つまり細かいところはミスすることはあっても、70点あれば大筋を理解し掴んでいると見なされるということです。
大学の単位などは、100点を最高として点数がつけられたり、優良可、不可という区分で成績を分類することもありますが、意味がある区分としては合格か不合格かというただの2択です。この大学の成績は一度社会に入ってしまえば顧みられることはまずありません。つまり70点ギリギリ合格が効用の最大点となります。
人間はギリギリの合格点を狙っていくべきなのです。
要領がよい
100点主義を目指すより、70点主義を貫くほうが幅広くいろいろなことにチャレンジできます。同時に視野が広くなり、交遊関係も広がり、多くの経験が積め、コストがかからず、器用な立ち振る舞いができます。さらにはつぶしが効く人材となります。
神経をすり減らさない
70点程度のクオリティーで満点とする場合、細かいところは問題としないので小さなミスは許容されます。よって神経をすり減らさず適当にやっていてもなんとかなります。社会で起るほとんどのことは、大まかに形ができていれば細かいところまでは求められないことがほとんどです。
会社の経営でもそうです。1円の計算が合わなくても雑損失か何かで処理されますし、棚卸で数が性格に合わなくても修正すればOKです。
70点主義のデメリット
70点主義のデメリットも説明しておきます。
詰めが甘いと思われる
膨大な手間をかけた100点と比べて、70点主義は詰めが甘いと言われることがあります。しかし、考え方を変えれば無駄に100点を目指すことは労力の無駄遣い以外の何物でもないため、詰めが甘いと考える方に、効用を考慮しないという詰めの甘さがあります。
品質だけを見ると完全ではない
70点主義で作られた成果物は品質だけに注目すればクオリティーは低くなります。品質を求めるというということは効率性を妥協しているということなのです。70点主義は完璧なクオリティーを犠牲にしてでも投下労力への効用に対する最高のクオリティーを模索した結果であるため、狙い通りです。
不合格となり苦労が水泡に帰すリスクが高い
資格や試験でギリギリ合格を狙うことになるため、苦労が水泡に帰すリスクが高くなります。ですがこれを乗り切りギリギリすれすれで合格を出すことが最高の効用になるため上手くいけば狙い通りです。もしそのリスクを低減したいのであれば75点あたりを狙って工夫をしてみてもいいと思います。
どうしても完璧を求められる場合の対応法
物事によっては70点が許されないことがあります。そのような場合は段階をおって70点から90点97点100点へと完成度を高めていけばいいと思います。試行錯誤を繰り返すことで、70点の時にダメでだった30点分について70%を担保できるようになり完成度は高まっていきます。
まとめ
完璧を求めれば求めるほど、優位性は下がり、競争力は下がり、できることが少なくなり、神経をすり減らし、ストレスがかかり、道でもいいことに目くじらを立てるようになり、無駄にイライラし、人の気分を害し、金がかかり、労力がかかり、時間を無駄にし、燃費も悪く、環境を破壊し、悪いことずくめです。
ちなみに日本人が100の労力をかけて100円のものを作る間に、華人は日本人の50の労力で70円のものを生み出します。そして世界を席巻します。
人生は適当が肝心。そしてそれを体現して示してくれるのが70点主義です。これを理解できずに無駄に頑張ってテスト勉強をしてきた皆さま、仕事で頑張って頑張って課長になり残業代が無くなってしまい手取りが減って家計が火の車の皆さま。ご苦労様です。
70点主義を取り入れて、効率性、要領でぜひ優位に立ってみてください。人生に新しい希望が生まれるかもしれません。