インターネットを見ていると、逃げ癖の直し方、克服方法などの記事を目にすることがあります。逃げ癖がついてしまっている人に対して、その逃げ癖を克服し、物事に正面から取り組もう、ということで応援するメッセージを込めて書かれたものも多いと思います。
逃げ癖は人間が要領よく生き残るための非常に重要なスキルです。これを修正してしまうのはとても惜しいことです。本日は逃げ癖をつけることの重要性について解説します。
逃げ癖をつけるメリット
ここでは逃げ癖をつけるメリットについて解説します。
割に合わないことをしなくてよくなる
逃げたい、やりたくない、という気持ちはただ面倒くさいと思った時だけに発する感情ではありません。やりたくないという感情がわくときは、理屈に合わない、費用対効果が見込めないことをしなければならないことを脳が直感的に悟っている証拠です。
人間の頭脳はなかなか賢くできていて、効率が悪い、割に合わないと言う計算は、ほぼ1秒以内に割り出すことができるようにできています。この計算に素直に従えば、割に合わないことを避け、お得なことだけにリソースを集中投下できるようになります。
その場を凌げる
逃げ癖をつけることで大事な場に居残ってしまい攻撃を集中的にくらいコテンパンに痛めつけられることを避けることができます。これは戦場において、またはビジネスにおいてとても重要です。「あっダメだな」と思ったらサッと引き下がる勇気として逃げる、つまりは戦略的に引き下がることはとても重要です。
失敗しない
失敗しそうだな、危ないな、と何となく嫌な予感がした時にさっと立ち去ることができれば、失敗せずに大打撃を被ることを避けることができます。嫌な予感がする、損するのが目に見えているのにこれまでかけたコストを顧みてプロジェクトと中止するという決断をすることができず、全体を失敗とさせてしまった例は洋の東西を問わず例に事欠きません。
ストレスから逃れられる
ストレスというのは体に毒です。体を壊す原因で最も大きなものはストレスと言われているほどです。人間の脳はストレスと向き合えば向き合うほど損傷し、機能を失っていきます。ストレスから逃れることは体の健康を保持すると同時に、自分の能力を保存することにつながる最良の豊作です。
損切りできる
サラリーマン生活も投資も、損切りが大事です。損切りできずにもたもたしていると、どうにもならない泥沼に引きづりこまれてしまう。ダメな時はさっさと見切りをつけ、損失覚悟で撤退する勇気をもって逃げたほうが結果的に損失を最小限に留めることができ再起を図るための基礎残すことができます。
生き残れる
逃げるという行為は、生き残利のために不可欠です。何か物事に立ち向かうことは、成功すればいいですが、失敗すれば傷を負います。成功しても相応の代償を負うことがあります。危険から逃げることは、まず自分が傷を負うリスクを最小限にとどめることができます。
人間の人生はどれだけうまく生き残り、例えば被害をこうむっても自分の基礎を残せるかにかかっています。人をかき分け、人の屍の下にうずくまったり、人を引きはがしてでも自分が生き残るチャンスがあればそれを逃してはいけません。
破滅をま逃れることができる
潮時を見極め、戦略的撤退をすることは、全体の破滅をま逃れる有効な戦略です。戦争でもビジネスでも引き際を見誤って再起の礎までなくし、破滅してしまった例は快挙にいとまがありません。
撤退、引き下がることを恥じる文化を持っている民族は不利であり気の毒です。戦略的意思決定とともに恥とも戦わなければならないわけですから。
次のチャンスを待てる
戦略的に逃げることは、次のチャンスに打って出るための体力や勢力を残すことにつながります。逃げないで男気出してその場で踏ん張って入れば、津波が雇用物なら一発ですべてをさらわれてすべてが水の泡です。
損失を最小限にできる
いざとなったらさっさと逃げる癖をつけておくことで不測の事態の時に居ついてしまうことが避けられるため、損失を最小限にすることができます。
これは津波からの避難、株式での損切り、展開中のビジネスからの撤退など様々な要素に応用できます。
意思決定の主体性を守れる
自分のやりたいようにして、その結果その場所を離れることになっても意思決定の主体性を守ることができます。意思決定の主体性、意思決定の自由というものは、自由な時間、何もしなくても困らない自由と言うのと同じくらい大事な人生の勝ちです。
責任を負わなくて済む
戦略的に逃げることはとても重要です。責任を負わなくても済むからです。小学生のころ、悪いことをして最後に見つかって叱られたという経験をお持ちの方もいると思いますが、叱られたのは最後に見つかったメンバーだけで、途中でバックレたやつが何も制裁を受けなかったはずです。
「あっ、なんか嫌な予感がする」と思った時にはサッとその車から降りるのが大事です。
逃げることが効果的だとおもう方法
ここでは逃げることが効果的だと思う考え方を紹介します。
逃げることは大事だと思う
何か問題にぶち当たったときにはそこから離れる、まず逃げることが効果的な方法の一つだと考えるようにしましょう。何か嫌なことがあればそこから自分を遠ざければ苦しさから解放されます。自分の体と精神は大事です。頑張りすぎは逆効果です。まずは逃げることを正当化しましょう。
面倒なことは直ぐにやらなくてもいいと考える
面倒なことに立ち向かっていくことも大事かもしれませんが、面倒なことで尚且つすぐにやらなくてもいいことは後回しにしてもいいと考えることも大事です。仕事でもやってなくて怒られそうなやつから仕方なくやるだけで大丈夫です。先にやってもまた何か仕事が降りかかって来るだけです。
周りの評価は気にしなくていいと考える
逃げ癖がある人を人は評価しないかもしれません。でも自分は自分、人は人です。周りの評価は気にしても仕方ありません。自分さえ良ければ周りの評価など気にするに値しないことを認識しましょう。
抜け道があることを知る
社会の制度、仕組みを使うにあたり正攻法というものがあるわけですが、実はいろいろな抜け道があることを知りましょう。
高校を卒業してなくても大検を合格すれば高校卒業と同じように大学を受験できます。大学には支給される奨学金があり、これに合格できればお金をもらいながら勉強できます。大学は通信制大学に入れば働きながら学位をとれるし箔もつきます。大学院も同様です。
大学のゼミでは教授に気に入られた方が良い成績をつけてもらえたり、就職活動でも面談の担当者と馬が合えば内定率は高くなります。仕事でも要領よく泳ぐ方法はたくさんあります。上司を少しくすぐるだけで仕事の環境はかなり改善します。
仕事ができなくなっても社会保障制度を調べれば、生活保護、障害年金等様々なフェイルセーフがあります。正面からぶち当たるのではなく、いろいろな抜け道、トリッキーな方法を活用しながら要領よく生きる方法を見つけてください。
一人でも何も困らないことを知る
逃げることをためらう人の中には人から離れてしまうことが怖いという人もいるでしょう。
でも人間は一人でも生きていけます。無人島に一人で漂着し周りに誰も人間がいなくても一人で食料して人間は生きていけます。「人間は一人では生きていけない」という戯言をいう人もいますがそれは嘘です。横井庄一さんがそれを証明しています。
気の合う人は現れることを知る
苦手な人間が現れてそこから退避をしても、また気の合う人はどこにでも現れることを知りましょう。わざわざ知り合いを作りに行く必要はありません。気の合う人がいれば自分の気分の赴くままにお付き合いをしてもいいということです。
自分に甘くなっていいことを知る
世界には完璧な人間はいません。自分も完璧になる必要はありません。「こんなもんでいいだろう」「このへんにしとけばOK」の精神で自分に甘くしても問題ありません。むしろ苦労せずに物事がスムーズにいけば得だと思うようにしましょう。
ダメだと思った時には程よいところで妥協するのも結果としていい決断になることがあります。自分を追い込む必要はありません。
責任は人に転訛して回避すればいいと知る
責任というのは自分が受けることもできますが、うまく頭を回せば人に転訛して回避することができます。現実に組織や政治家で生き残ってのし上がっていく人は、責任を上手く受け流している人が多いのが事実ですね。
信用を失って孤立しても問題なく生きていけることを知る
逃げることで信用を失ってしまうのではないか、人をがっかりさせるのではないかと心配される方もいると思いますが全く心配無用です。日本の都市部で生活するなら信用、人からの評価など全く関係なく問題なく生きていけます。これは間違いないです。
人間は信用を失っても死にません。不便にもなりません。信用に振り回されなくなるので無敵状態になりむしろ得です。
困ったときは誰かが尻をぬぐってくれることを知る
仕事や人生で困ったとき、そういう時は往々にして誰かが助けてくれます。それは友人か家族か誰かわかりません。困ったときは誰かが手を差し伸べてくれる、仕事でも尻をぬぐってくれるということを知りましょう。
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逃げ癖をつける際の注意点
ここでは逃げ癖をつける際の注意点について紹介します。
逃げることには慣れが必要
逃げることは一見簡単なようですが、プライドが高い人、競争心が強い人、等いわゆるあんまり賢くない人たちは逃げること、物事を投げだすことを毛嫌いする傾向があります。
逃げないことを美徳と勘違いし、その結果、ギャンブルですっからかんになってしまったり、株式や先物で膨大な損失を被ったり、不動産バブルで最後のババを掴んだり、またはグローバルビジネスで会社が傾くほどの何千億円の損失を発生させたり、という愚行が発生します。
これらは逃げ慣れていないことが原因です。逃げる勇気がない臆病者がこのような破滅的な結果を招きます。
戦争では不利な状況にもかかわらず撤退を英断しなければ部隊は全滅します。または無条件降伏となり、すべての財産を没収され、国土を蹂躙され、灰に帰すところまで至ります。ローマと戦った植民都市カルタゴは、ローマとの戦争に負けた後、国都を破壊しつくされ、再起不能なように土地に塩をまかれるところまでやられています。
逃げることは勇気がります。ですが逃げることへの葛藤に慣れ勇気をもって現実に立ち向かう強い心を持ちましょう。
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権利は主張してもいいが責任はできるだけ回避すること
これは逃げることとはすこし離れますが、世の中は限られた駒の取り合いをする弱肉強食の世界です。この中で権利を主張せず、責任を回避しない姿勢でいると、競争社会で完全にやられます。
権利は必ず主張しましょう。そして責任は自分ができる最高のリソースを使って回避するように全力を投入しましょう。
印象は悪くなる
逃げ癖は評価を下げてしまうかもしれません。ただし、評価が悪くなったとしても、現実的な損失が伴わなければ気にする必要はありません。
孤立する
厳しい局面を能動的に回避することは孤立を招く可能性を秘めています。ですが、孤立が必ずしも悪いこととは言い切れません。自分で自分の主導権を握り、孤高の人生を歩むことは悪いことではありません。
逃げない癖を克服する方法
ここでは逃げずに何事にも立ち向かってしまう悪弊を克服する方法を解説します。
面倒な事は後回しにする
なんとなく目の前のことに立ち向かってみるのはまずおいて起き、とりあえず放っておいても困らないようなことや面倒なことは後回しにしましょう。大事なことは先に処理し、「面倒でどうでもいいことは後回しにする」という癖をつけてみましょう。
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言い訳はしっかり行う
失敗をした場合、安易に謝ると自分が悪いことになってしまいます。責任が自分に降りかからないように最大限行動し、不可抗力に対して責任を擦り付けましょう。安易に謝らないことを始めていきましょう。
逃げて上手くいく成功体験を重ねる
逃げ癖をつけるには逃げて上手くいく成功体験を重ねることが重要です。当たって砕けていく同僚、軍、企業をしり目に、逃げては勢力を温存し盛り返し相手の背後から包囲する、能動的に撤退し、機がくるのをじっと待ち対応する、という成功体験を重ねましょう。
逃げることを諦めない
逃げることを諦めてだめです。逃げることを諦めて立ち止まってしまっては何かに捕まってしまいます。逃げられるところ、回避できることは何としても外していきましょう。そして逃げながら有利なポジションを徐々につかんでいきましょう。
優秀な人は賢い逃げ方を知っている
「仕事ができる人は逃げずに何事にも正面から立ち向かっている」そう思っていませんか?
実は優秀な人は、優秀なほど上手に都合の悪いところから逃げながら賢く世間を渡り歩いているんです。
優秀な人とは、潮時を見極める能力に長けた人、戦略的撤退の名人、取捨選択の巧者、責任逃れの達人なんです。
まとめ
本日は逃げ癖をつけるべき理由を解説しました。成り上がった歴史上の人物の軌跡をたどってみても当たって砕けてしまうような人物を目にする機会はありません。成功者は皆、成功する過程において何度かの挫折をし、そのたびに逃げ、逃げながら再起を図っています。
また面倒なことは正面からぶち当たるのもいいですが、往々にして物事には抜け道があります。より少ない投下労力とリスクで結果を得る方法論はあるものです。
成功者は結果だけをアピールします。でも本当はみんな逃げているんです。逃げ癖をつけて生き残ってきた人たちなんです。
人間の癖は恐ろしいもので、逃げない癖も定着してしまうと人生に様々な悪影響を与えます。大事な場面で上手く逃げる習慣をつけておかないと生存そのものが危うくなり、再起のための基礎まで失ってしかねません。逃げることは大変な勇気が必要ですが、丁寧に取り組み、少しづつでもいいので逃げる癖をつけていきましょう。