みなさんはインフラファンドというスタイルの金融商品をご存知でしょうか。インフラファンドとは、再生可能エネルギーの発電設備等を投資対象とする金融商品です。
私はインフラファンドの中でも東証に上場している上場インフラファンドを自分の投資のアセットアロケーションに一部取り入れています。配当利回りが比較的高く、私が保有する他の日本株との相性を考えて、分散投資になると考えたからです。
本日はインフラ上場ファンドについて解説します。
目次
インフラ上場ファンド
上場インフラファンドとは、東証が創設した太陽光発電などのインフラ施設等を投資対象とする投資法人です。発電所や空港、鉄道などのインフラに投資しそこから得られる収益で分配金を得ています。
EGS投資への関心の高まりもあり、上場インフラファンドは着々と市民権を得つつあります。インフラファンド市場は2015年に東京証券取引所にて開設され、2016年には初の上場インフラファンドが誕生しています。
現在は以下の7つのインフラファンドが上場しています。
- ジャパン・インフラファンド投資法人 9287
- エネクス・インフラ投資法人 9286
- 東京インフラ・エネルギー投資法人 9285
- カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 9284
- 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 9283
- いちごグリーンインフラ投資法人 9282
- タカラレーベン・インフラ投資法人 9281
低金利政策下の日本では債券で利益を狙うのは難しい状況です。
このような環境でも投資家の高い運用利回りに対する要求は大きく年金などの長期資金を運用する機関投資家は債券、株式等の伝統的投資対象物以外に不動産やコモディティ等も投資対象とし様々なオルタナティブ投資への投資を検討しています。インフラ上場ファンドへの投資もその流れの一つです。
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インフラ上場ファンドの投資対象
インフラ上場ファンドの投資対象は現時点では「再生可能な発電施設」です。実際には太陽光発電所に投資するファンドであることからEGS投資としても注目されてます。太陽光発電は固定価格買取制度があるため安定した収益が見込めます。配当りも高くインカムゲインメインの投資先として魅力的です。
インフラ上場ファンドの基本的な仕組み
インフラ上場ファンドは太陽光発電所などの「再生エネルギー」の発電設備をおもな投資対象としています。現在、電気事業者が発電した電気には一定期間固定価格で買い取りが行なわれる制度があり、安定的な収入が期待できます。
J-REITとの比較
インフラ上場ファンドはJ-REITと比較して収益が安定しています。その理由は発電した電気は固定価格買い取り制度(FIT)があり買い取り価格が安定しているためです。J-REITでは不動産賃貸相場により収入に変動がありますが、この点でインフラ上場ファンドの収益は安定しています。
またJ-REITには投資先の不動産の空室リスクがありますが、インフラ上場ファンドは太陽光発電により収益を得ているので天変地異や異常気象が起こらない限り収益が安定するという特徴があります。
また太陽光発電所は地価の安い地方に設置されており、資産に占める地価の比率が低く、設備の耐用年数が短いため減価償却費が多く発生します。この減価償却費によるキャッシュフローを原資とした利益超過分配を行っています。
J-REITと異なる点としては以上のほかに、法人税が実質的に非課税となる期間に上場時に取得した設備の貸付開始の時期を起点として20年という定めがあります。そのためこの期間が満了すると分配金が少なくなったりする可能性があります。
インフラ上場ファンドに投資するメリット
インフラ上場ファンドに投資するメリットは以下の通りです。
利回りが高い
インフラ上場ファンドは高い利回りが特徴です。現在もJ-REITよりも高い利回りを維持しています。インフラ上場ファンドの配当利回りは5%~6%となり、J-REITの平均利回りの4%を大きく上回っています。
分配金が安定している
インフラ上場ファンドは、太陽光発電の電力を収入の原資にしています。太陽光は季節的な変化はあるものの毎年同じように降り注ぐため分配金が安定します。不動産投資にあるような、空室が多くなって家賃が入らない、というリスクがない分安定しています。
また現在国が行っているFIT(電力の固定価格買取制度)により電力の買い取り価格が安定しているため分配金収入のブレがありません。
小額投資が可能
実物の太陽光発電所を買うことは可能ですが、一か所何百万というロットが発生します。インフラ上場ファンドは一口単位で売買されるため小額投資が可能です。10万円単位くらいで購入が可能です。
収益が景気に左右されない
太陽光は太陽が消滅したり、地球の成層圏に火山灰が滞留して太陽光が地表に届かない状態にならない限り地表に降り注ぎ、人間の経済行動に関係なく発電は行われます。
J-REITのように景気がわるくなりオフィスビルの空室率が上がったり賃貸料が下がるといったリスクがなく、企業業績の低迷による配当収入の低下というリスクもありません。景気に左右されずに分配が安定して行われます。
分散投資になる
現物で太陽光発電所を所有し投資するには一定の頭金が必要です。またそれが実現したとしても何千万の資金では分散投資は難しいです。
インフラ上場ファンドは、ファンド内で多くの発電所に投資を行っており、地域の分散がなされています。一つのインフラファンドを買うだけでも相当な分散投資になります。別のインフラ上場ファンドを買いますことにより分散投資はさらに強化されてます。これにより投資地域が偏在することによる災害リスクを軽減することができます。
インフラファンド指数ETFが設定される可能性
2020年4月に、東証インフラファンド指数の算出が始まりました。これに伴い今後はインフラファンド指数に連動したETFが設定される可能性があります。ETFが設定されれば大口の投資家がETFを購入し、時価総額が大きくなる可能性が考えられます。そうなれば既存の投資家はインフラファンドの売却益も手にすることができるかもしれません。
EGS投資への意識の高まり
環境に配慮した投資先を選定して投資するEGS投資が脚光を浴びています。社会貢献の一環として環境の配慮に優れた投資先を優先して選別し投資するファンドや運用会社も多くなるでしょう。その場合、太陽光発電という再生可能エネルギーを取り扱うインフラ上場ファンドは資金流入の受け皿になることは間違いないでしょう。
インフラ上場ファンドに投資する際の注意点
インフラ上場ファンドへの投資はメリットのほかに以下の注意点に留意する必要があります。
銀行融資を使えない
太陽光発電所への実物投資では、銀行などの金融機関から融資を受けることができます。ですがインフラ上場ファンドは金融商品のため融資を受けることができないところがネックです。もしレバレッジ効果を使い太陽光発電に投資したい方は銀行融資や政策金融公庫の事業資金融資を行える実物投資を検討してください。
FIT(固定価格買取制度)の見通し
現在、政府は固定価格買取制度により、再生可能エネルギーで発電した電気を固定価格で買い取る保証を行っています。今後、この定額買い取り制度がどうなるかについては不明確なところがあります。
仮に日本国内の電力がすべて再生可能エネルギーで賄えるほど普及した場合には、電力価格は需要と供給量に応じた市場価格となり、当然収益は減少し分配利回りは減少すると思われます。
固定価格買取制度が今後どのような展開となるのか中止する必要があります。
20年後に分配金が減少する
インフラ上場ファンドは、一定の条件を満たすことにより当初20年間の法人税を免除されています。それにより分配金が高めに設定されているという側面があります。20年を超えた後は法人税が課税された後の利益を分配することになりますので分配金は減少してしまう見込みです。
株式と同じ売買手数料がかかる
インフラ上場ファンドは証券取引所に上場している株式と同じ扱いですので売買をするときに証券会社の手数料がかかります。手数料は証券会社によりけりですが、ネット証券の売買手数料は大手証券より安いのでネット証券で売買するのがおすすめです。
配当落ちで基準価格が下がる
インフラ上場ファンドは高配当が売りです。高配当銘柄は権利付き最終日に向かって投資口価格が上昇し、権利落ち日以降は下落する傾向があります。配当がほしいからといって権利確定日直前にファンドを買ってしまうとあとで含み損を抱えてしまうことになりますので注意が必要です。
インフラ上場ファンドへの投資のまとめ
今回はインフラ上場ファンドについて解説しました。インフラ上場ファンドは利回りが高いためインカムゲインメインで投資するのに最適です。太陽光発電所の現物を所有するのはハードルが高くてなかなか手が出せない方にもおすすめです。
インカム投資に興味がある方はアセットアロケーションの分散配置の一環としてぜひインフラ上場ファンドへの投資をぜひ検討してみてください。