この先日本はインフレ(物価上昇)が加速し、対応を怠れば今まで苦労して蓄えた貯蓄の現実的価値が下がってしまうことが考えられます。
これを防ぎ資産を防衛するためには知恵を絞りインフレでも資産が減らない、あるいはインフレで資産が増える方法論を確立する必要があります。
本日はインフレに強い資産を持ち、将来のインフレに備える方法を解説します。
目次
インフレとは
インフレとは簡単に言うと通貨の価値が下がることです。例えば、100円で買えたジュースが一本200円になるというような状態です。こういう場合せっかく頑張って貯蓄した銀行預金、郵便貯金、債券の価値はどんどん目減りします。
例えば戦前は中学生と高等女学校の勤労動員の月給が50円、少尉の月給が70円でした。これが戦後のインフレで貨幣価値が下落し、今は大卒初任給が20万ちょっととなっています。金額が増加しているので一見所得が増えて豊かになっているように思えるかもしれませんが物価がそれに応じて上昇しているので数字が増えているだけです。
インフレが起これば所得は増え物価も上昇します。でも現金の数字、預金額、債券金額の
数字は変わりません。ということは同じ貯金で買えるものはどんどん少なくなります。
世界経済の歴史を振り返ると、貨幣価値は歴史的に緩やかに目減りしてきました。
この流れは今後も変わらないと予想します。
ではこれをどのようにして避ければいいのでしょうか。次の項ではインフレに対抗し資産を守る方法を解説します。
インフレに対抗する方法
インフレに対抗し資産を防衛するためにはインフレに強い資産を持つことが重要です。インフレに強い資産は次の通りです。
株式
インフレリスクに対抗できる投資商品の中で最も一般的に認識されているものが株式です。インフレが起こり物価が上昇すれば企業の売り上げは上がります。また企業が保有する資産の市場価格が上昇するため株価もそれに連動し上昇します。
但しインフレになるということは経費や原材料費、企業が借り入れている資金の金利も高騰することになるためインフレが業績にマイナスの影響を与える要素があることも念頭に置いていく必要があります。
外貨
もし日本円にインフレが起こると日本円の価値が下がります。日本円の価値が下がるということは、円安になり、外貨の価値が上がります。この状況で外貨を保有していた場合は、為替差益を享受ることができます。
インフレになり円の価値が目減りすることを予測するならば資産の一部を外貨や外貨建て資産で運用しておくことはリスクヘッジとなり得ます。
投資信託
投資信託は投資家から集めたお金をファンドマネージャーが運用する金融商品です。投資対象を株式とする投資信託では値上がりしそうな株式をアセットに組み込んで投資を行います。インフレに連動し値上がりする投資対象を組み込んだ投資信託を保有すれば投資信託の価値は値上がります。
金
金は物価上昇、つまりインフレに連動して値上がりする商品です。金利を稼ぐことはできませんが、金地金を保有することは、インフレによる資産の目減りを防ぐために歴史的に使われてきた資産防衛法です。
資源、コモディティ
市場では株式や外国為替以外にも先物市場で様々な資源が取引されています。商品先物でよく目にするものには、鉄鉱石、原油、大豆、小麦、コーヒー、トウモロコシ、金属などがあり、これらの資源価格は世界経済に影響を与えています。
日本は資源に乏しい国家で、食料自給率も低く、鉄鉱石や石油などの多くの資源を輸入に頼っているため、インフレで通貨の価格が目減りすれば、円換算での資源価格は上がります。ですからインフレヘッジをするにはこれら資源に投資するというのが一つの選択肢となります。
不動産
不動産投資は、インフレ時の代表的な資産防衛法です。物価が上がってく過程では土地の価格は上昇しますし、土地の上に立つ建物自体も経年劣化による値下がりを越えた値上がりを示します。
またインフレで物価が上がるということは、家賃相場が上がることを意味しますので賃貸収入の増収に直結します。
インフレに弱い資産
これまでインフレに強い資産、インフレヘッジが聞く資産や投資法をを紹介しましたが次は、インフレに弱い資産をピックアップします。
現金
現金を置いておく、つまりタンス預金です。これは金利はつかないし、盗難と紛失リスクもあるしあまりよろしくない資産管理方法です。朝の物価と夕方の物価が異なるようなインフレでは一瞬で貯めて貯めたへそくりが紙切れ同然になります。
「給料日に山のような札束を渡されて途方に暮れる会社員」の写真を見たことがあるでしょうか。あの光景も起こらないとは限りません。
現金の唯一のメリットとしては資産の金額を当局に把握されにくいことくらいです。インフレヘッジをする場合は金地金など換金性の高い資産に交換し補完することで事足ります。
郵便貯金、銀行預金
郵便貯金、銀行預金もインフレには非常に弱い資産です。銀行や郵便局にお金を預けると一応金利はつくものの、株式投資の平均リターンと比較すると低いリターンしか得ることはできず物価が上昇する中で銀行口座の数字は変化しないことから交換できる物はどんどん少なくなります。
債券
国債や地方債、企業債などの債権も額面が物価に連動しないことからインフレに弱い資産と言えます。第二次世界大戦前、日本帝国は大量の国債で第二次世界大戦を継続し、戦後国債はデフォルトはしませんでしたが戦後に大きなインフレが発生したため戦前に発行された国債は殆ど紙切れ同然の価値しかなくなってしまいました。
保険商品
保険商品類もインフレ対策にはお勧めできません。物価連動された保険商品ならば多少マシだと思いますが、支払いが行われる場合の保険金は契約した時の保証金額しか受けることができないからです。また質の悪いことに保険商品は保険会社の事務費用が発生するため投資商品はコストが高く魅力に欠けます。
年金
年金の支払額は一定の物価スライド制が採用されているため、多少インフレを吸収する能力がありますが物価上昇を積極的に受容し得をするというところまでのスライドは見込めないものになっています。
インフレを積極的に味方にする方法
ここではインフレをむしろ積極的に味方にして資産を増やしてしまう方法を考えます。
借金をして資産運用をする
日本は金融緩和により金利が超低金利に維持されています。これを利用して借金をし、つまりローンを組むわけですが不動産を購入したり、土地を買って駐車場として貸し出したり、株式投資をすることにより、投資リターンから借金の金利を引いた分を取り分とすることができます。
インフレが進めば資産の金額的価値が上昇し、賃金も上昇するにもかかわらず、借金やローンの金額はそのままであることからインフレが進むことにより借金の負担は目減りします。富裕層や資産家はこれを活用して有り余る資産を更に増やそうと銀行の担当者と交渉し、有望な投資対象物を物色しています。
インフレとは
まとめ
日本銀行は日本のインフレ率の目標を2%に掲げています。もし年間のインフレが2%となりそれが何年もつづけば私たちの金銭感覚や生活に大きな影響を与えることは間違いありません。
政府の予算は税収を大幅に超える金額が毎年計上されており、その金利支払いのために予算が組まれるという家計でいうところの多重債務の自転車操業の状態に陥っています。これを唯一一発で解決する方法はインフレを起こすことであることは経済学者にとって当たり前のことです。
財政難をこのような方法で解決した前例はないわけではなく、第二次世界大戦では日本帝国は膨大な戦費を国債発行で賄い、戦後のインフレの中で紙くず同然の価値で償還した実績を持っています。
インフレから身を守るのは個人の工夫と才覚が全てです。物価が上昇が考えられる状況では
様々な方法でインフレをヘッジする資産運用方法の確立が必要です。