仕事ができない、仕事でよくミスをする、よく叱られる、このような理由で会社を首になるのではないかと怖くなったことはありませんか?
私は新卒の時は年下の先輩から、「できない大学生」と笑われ続け、今も会社では失敗やミスばかりしています。そんなマイルドモンスター社員の私でも今の会社で10年以上勤務しておりまだクビになっていません。
あとでいろいろ調べて分かったのですが、日本の会社は、そう簡単には正社員を解雇出来ないような仕組みになっています。日本では労働者は法律で手厚く保護されており、よほどのことがない限りクビにはできないというのが現状なんです。
今回は正社員は解雇されにくい背景や理由などを解説します。このブログを読めば会社をクビになるのではないかというビクビクした気持ちから解放されます。
目次
解雇の種類
まず解雇にはどのような種類があるかを解説します。解雇には以下のような種類があります。
普通解雇
普通解雇とは、会社の都合によって従業員を解雇することです。普通解雇を行う場合には「客観的に合理的な理由があり、なおかつ社会通念上相当と認められた場合」に限り解雇が行われます。普通解雇は以下のような場合に起こり得るとされています。
勤務態度が悪い
例えば遅刻や無断欠勤が異常に多い場合は勤務態度が悪いと判断され解雇理由になり得ます。但し公共交通機関の乱れや事故渋滞に巻き込まれ、勤務時間前に予め遅刻することを連絡を入れている場合や急な体調不良でも当日勤務時間前に連絡を入れている場合には解雇理由にはなり得ません。
病気やケガ
働けないほどの重傷を負ってしまったり、病気で働けない状態は解雇理由になります。ただし、そのような場合はまず病気休職という形で就業規則にある一定の期間休職ができます。その一定期間を超えても職場復帰ができない場合には解雇とされる場合があります。
ですからうつ病や適応障害で数か月間の病気休職をするといった場合には解雇はされません。私自身、何回も病気休職をしていますがまだ会社をクビになっていません。
努力が見られない
業績を上げる努力が全く見られないというのは解雇理由は挙げられます。会社が手を尽くしたものの成績が著しく不良で、会社のどこにもあてがう部署もなく、手の施しようがなくなった。そのような場合がこれに該当します。
ただの能力不足、ほかの部署に異動させれば仕事は務まる場合には会社は解雇することはできません。少なくとも裁判所はこれを正当な解雇理由とは認めません。仕事はダメダメでも努力しているところを見せてさえいればクビにはなりません。
整理解雇
整理解雇とはいわゆるリストラのことで、会社の業績が悪化した際に会社の都合で行われるものです。整理解雇で従業員を解雇するにあたっては、会社はまずは解雇を回避するための最大限の努力することが求められます。
最大限の努力には様々な点が考えられますが、例えば予め希望退職者を募る、配置転換を行う、役員報酬を削減するなどが考えられます。そのような経営努力を行い、なお会社存続のために従業員を解雇せざるを得ない状況になって初めて整理解雇は成立します。よって整理解雇はめったに起こることはありません。
仮に整理解雇により解雇が発生した場合には失業理由が「会社都合」退社となり、失業給付が普通より長く支給されます。また転職活動をする際にも「やむなく解雇された」ということで同情を買いやすいため転職がしやすくなります。
懲戒解雇
懲戒解雇とは、就業規則に違反したり、企業に多大な損害を与えたり、会社の秩序を乱す行為を行ったり、会社の尊厳を傷つけた場合にその制裁として行われる解雇です。会社員の制裁としては最も重いものとなります。詳細は各事業所の就業規則によりますが、概ね以下のような場合に懲戒解雇となることが多いです。
企業機密の漏洩
機密漏洩は懲戒解雇となり得ます。会社に著しい損害を与えた、とされるからです。顧客情報や社外秘の図面を競合先や外国企業に送り、もしそれが発覚した場合等このような場合は酌情の余地はないとみるのが妥当です。
横領や着服
会社のお金を横領したり、商品を着服した場合も懲戒解雇となり得ます。会社の金庫から現金をくすねた、会社で取り扱っている商品を無断で持ち帰り転売して利益を得た、などがこれにあたります。
インサイダー取引
勤務先の株をインサイダー情報をもとに売買しそれが発覚した際にも懲戒解雇となり得ます。
談合、カルテルへの参加
談合やカルテルへ参加しそれが発覚した場合に懲戒解雇の対象となりますので注意が必要です。
パワハラとセクハラ
パワハラとセクハラは解雇理由になります。会社も使用者責任を問われるため会社はセクハラとモラハラを行った従業員に対して制裁を行います。
経歴詐称
重大な経歴詐称も懲戒解雇の理由になります。学歴、職務経験、犯罪歴などがこれらにあたります。
反社会的勢力関係者であることが発覚した場合
反社会的勢力関係者であることが発覚した場合も、つまり従業員が暴力団の構成員である場合、就業規則によって懲戒解雇になる可能性があります。
解雇される場合の手続き
もし会社が従業員を解雇することになった場合は以下のような手続きが行われます。
解雇予告
会社は従業員を解雇する際には、原則として30日以上前に解雇予告をする必要があります。会社は解雇予告をせず即刻解雇をしたい場合には、解雇予告手当を支払うことで即日退職をすることも可能です。
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正社員はよほどのことがない限り解雇されない理由
正社員は犯罪を犯したり、著しく大きな損害を会社に与えたりしない限り解雇されることはありません。ここではその理由は以下の通りです。
解雇権の濫用は認められない
正社員はそう簡単に解雇されません。その理由は、労働基準法第18条2項で、「客観的合理性を書き、社会通念上相当と認められない場合の解雇は無効である」と定められているからです。
つまり従業員を解雇する場合には解雇権の濫用にならないほどの正当で合理的な理由が必要です。もし安易に解雇をしてしまうと不当解雇となり裁判沙汰になったり、損害賠償請求などがなされる可能性があります。
また労働基準法で、国籍や信条、社会的身分を理由とした解雇は認められていませんし、妊娠や産休を理由にした解雇も行うことはできません。
労働組合法では、労働組合の組合員あること、労働組合に加入しようとしたり、それを結成しようすること、正当な組合津堂をしたことを理由にする解雇や労働組合に加入しないことを採用の条件とすることなどは認められていません。
解雇するには解雇理由の明示が必要
従業員を解雇するには、解雇理由を明示する必要があります。その理由は客観的に合理的でなおかつ社会通念上相当と認められなければなりません。解
雇理由が明示されていても、それが経営者がその従業員を個人的に気に食わないなど、恣意的な判断に基づくような場合であれば、裁判で争われた場合解雇が無効であると判断される可能性が高まります。よって解雇はそう簡単にされるものではないのです。
不当解雇での訴訟のリスク
もし解雇された元従業員が解雇は不当解雇であると訴え、解雇が無効になった場合、従業員との雇用契約は継続していることになります。その際には、会社は従業員が得られたであろう給料を従業員に支払わなければならなくなり、職場復帰命令も出さなければなりません。
会社は一度やめさせた従業員を復帰させたときの職場の雰囲気やモチベーションなども鑑み、できるだけこのような事態は発生させたくないと考えます。よって会社は安易に従業員を解雇に追いやることはしないのが普通です。
正社員が解雇されない事例
ここでは正社員が解雇されない場合を例に挙げて紹介します。
能力不足
能力不足では会社を解雇されることはありません。手際が悪い、要領が悪い、覚えが悪い、習得が遅い、このようなことでは解雇されません。
「クビになった」という話のほとんどは、実際には解雇されたのではなく、退職推奨をうけ入れて自己都合退社した、白い目で見られてそれが耐えられず自分から辞めた、というの実態です。
能力が低いなら能力に合った仕事を割り当ててもらうか、能力が向上するように社員を育成するようにすれば済む話です。
仕事のミスが多い
書類作成にミスが多い場合、やり直しを命じられたり、間違いを指摘されることがあります。何度も資料を作り直し、指摘をうけてやり直す。このようなことを皆さんもしたことはありませんか。
でも「もっとよく確認するように」と注意を受けても、これくらいで解雇されることはありません。むしろミスすることは改善のきっかけになり、歓迎される場合もあります。
実務に対する知識の不足
会社では人事異動もあり、いろいろな部署を転々とする社員もいます。実務に対する知識が不足している人も中にはいます。それでも従業員はそんなこと程度では解雇されることはありません。知識が不足しているなら研修や教育で知識をつけさせればいいわけです。
体力がない
出勤ができないほど体力が消耗している場合は別として、普通に体力や忍耐力やない、疲れやすい程度では解雇されることはありません。
会社は従業員に過重な負荷を与えないようにし、安全に対する配慮を行う安全配慮義務が課せられています。過労によって労働災害を起こした場合には会社の責任になります。
残業をしない
残業をしないことは解雇の理由にはなりません。上司の指示があれば残業はしますし、瞬間的に業務負荷が高まっている時も残業はしますが、普段は勤務時間が終わったら直ちに帰宅します。続きはまた翌日に勤務時間内にすればいいんです。
恒常的に時間外勤務が必要だということは、そもそも作業量の割り振りがおかしいので一従業員の問題ではありません。付き合いで残業をする必要はありません。業務が少し遅れても全体に影響が出ることはありません。残業しないからといって解雇はされません。安心してください。
サービスを残業しない
職場によってはサービス残業を求めてくるかもしれません。時間外手当を支給しないことは違法です。サービス残業を拒否しても解雇されることはありません。
サービス残業を求められた際には「残業代を支給してくれるなら役務を提供しましょう」と話しましょう。それができないというのなら、仕事はそのままにして帰っても大丈夫です。
ギリギリに出勤する
ギリギリに出勤せずもっと早くに来るようにという意味不明の注意です。フレックスタイムで始業開始時間を自由に選べる場合は早く来ましょう。そして勤務時間を早くスタートさせて早く帰りましょう。
仕事はジャストインタイムです。ギリギリにきて遅刻してないのにも関わらず解雇されることはありません。ちなみにたまに遅刻するくらいでは解雇になりません。
休憩中に仕事をしない
休憩中は仕事の手を休めて休憩しましょう。休憩時間返上で働かなければならない職場、休憩時間が有名無実化している職場からはできるだけ早く足を洗いましょう。休憩時間に仕事をし続ける風土の中、休憩をしてもそれを理由には解雇されることはありません。
飲み会に参加しない
勤務時間外の自由な時間が侵害される腹立たしい時間が会社の飲み会。飲み会への参加を断ったからと言って解雇されることはありません。
労働組合活動に参加しない
労働組合活動を断っても解雇されません。労働組合活動はそもそも労働ではありません。
有給完全消化
有給休暇は労働者の権利です。会社は年5日以上の有給休暇を従業員に与える義務を負っています。有給休暇を全部使いきっても解雇されることはありません。私も有給は全部使い切ります。理由はそうしないと損だからです。
社内不倫
社内不倫があったとしてもそれは個人と個人の問題であり、会社を解雇されることはありません。
業務態度が悪い
仕事中にパチンコに行ったり、暴力を振るう、など社会通念を逸脱する場合を除き、「業務の態度が悪い」程度で解雇されることはありません。「態度が偉そうだ」「生意気だ」「くってかかる」そんなことではクビになりません。それで解雇されたら不当解雇です。
病気やケガ
病気やケガが原因で業務に耐えられない状態であれば解雇されますが、足を骨折して何か月か入院する、うつ病や適応障害で休職する、といった場合解雇されればそれは不当解雇になる可能性が高いです。
妊娠による解雇
女性が妊娠したことを理由とする解雇も不当解雇になります。男女雇用機会均等法で、妊娠中の女性への配慮は法律で定められています。
人間関係でもめる
一度や二度反抗的な態度をとったり、人間関係でもめたとして、あとで改善すれば解雇されることはありません。口論になったりすることが多すぎると問題ですが、人間ですから好き嫌いはあります。人間関係のトラブルがもとで解雇されてしまう可能性は低いです。
勤務中のサボり
勤務中にサボっているのが見つかっても反省して改めていけば解雇はされません。見つからなければそもそも問題にもなりません。
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解雇されないためにするべきこと
ここでは会社から解雇されないためにするべきことを紹介します。簡単ですのでぜひやってみてください。
業務指示に従う
直属の上司の業務指示だけには従っておきましょう。言われた通りやったが駄目だった、というのはOKです。言われた通り指示だけは従うようにしてください。
無断欠勤と遅刻をしない
休む時や遅刻しそうなときには始業前に電話で連絡を入れましょう。
法律と就業規則を守る
法律と就業規則は守りましょう。法律と就業規則さえ守っておけば解雇されることはありません。
不当解雇をされそうになったら
ここでは会社に不当解雇されそうになった時の対応について解説します。対応の手順としては以下のようになります。
解雇理由証明書の発行を請求する
会社から解雇だと言われたら、解雇理由証明書の発行を請求しましょう。解雇理由証明書の発行を請求された場合には会社は遅延なくこれを交付することが法律で定められてます
。解雇理由証明書というものがあることは、経営者の身勝手な解雇を防ぐ効果があります。解雇理由証明書を受け取っていれば解雇が正当かどうかを第三者が確認する際の判断材料となります。
就業規則を確認する
解雇だと言われたら、解雇理由証明書の発行を請求しつつも就業規則と法律を確認してください。不当解雇ではないか徹底的に調べましょう。そして会社に懲戒解雇か普通解雇かどちらになるか確認しましょう。
就業規則に違反してないのに懲戒解雇になっていた場合には面白いことになります。
弁護士に相談する
自分が不当解雇かもしれないという方は、弁護士に相談してみましょう。費用は60万円以上かかりますが、不当解雇を撤回し、慰謝料や未払い賃金を取り戻せるチャンスになります。
解雇についてのいろいろ
ここでは上で紹介しきれない解雇についてのいろいろを解説します。
非正規社員
これまで正社員の解雇を中心に話を進めてきましたが、非正規労働者をめぐる環境は正社員とは異なります。
非正規社員は日々変動する仕事量を柔軟に調整するための契約がされていることもあり、正社員より解雇されやすい傾向があります。非正規社員は労働契約期間終了として会社との契約を打ち切られることがあります。これは「雇止め」といわれるものです。
期間雇用の契約を何度も更新している場合、通常の無期労働契約と類似した取り扱いなる場合があります。有期雇用の場合もやむを得ない理由がある場合を除いて契約期間終了前の解雇はできません。「能力や協調性が低い」はやむを得ない理由には当てはまりません。
退職勧奨
解雇とは違うものに退職勧奨というものがあります。これは会社が従業員を解雇しないもの、辞職することを強く働きかけるものです。
これは、辞職を暗に求めるようなものもあれば、条件を提示して「退職推奨」を明らかに提示する場合もあります。退職勧奨は法的な強制力はありませんから受け入れなければならないものではありません。ですから退職勧奨を受けた場合には、やめるつもりはないことを伝えましょう。
退職勧奨自体は違法ではありませんが、もしそれが執拗に続いたり、嫌がらせを受けるような場合には弁護士に相談しましょう。
正社員は解雇されにくいについてのまとめ
今回は正社員は解雇されにくい、ということについてお話ししました。
このブログで、会社はそう簡単に従業員を解雇できないことがわかって頂けたと思います。
上司の業務指示に従う、無断欠勤をしない、法律と就業規則を守る、これだけやっていれば、病気になろうが能力がなかろうが、ミスを連発しようが、会社は従業員をクビにできません。
正社員はめったなことではクビになりません。安心してください。私もクビになっていません。
このブログを読んでいただければ、上司に「クビにするぞ」って脅されてもビクビクする必要なんて全くないことをわかっていただけると思います。仕事は言われたことだけやってれば大丈夫です。
このブログが皆様のサラリーマン生活の参考になれば幸いです。