皆さんは効用という言葉を聞いたことはありますか?

普通の生活ではあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、この概念は経済学者、経営者、
少ない労力で要領よく金儲けをしようと思っている人は常に考えている普遍的な概念です。
本日は効用、つまり投下労力あたりの利得についての概念やそれを上げる方法について解説します。
目次
効用とは

効用とは、経済学の概念で消費者が財やサービスを消費することで得られる主観的な満足の度合いをいいます。消費者が財やサービスを購入したりすることによる満足度の指標として使われる効用ですが、実際によく似た概念として、労働者が時間と労力を消費することにより得られる報酬についての満足の度合いにも応用できる概念であると考えます。
利得とは

利得とは経済学用語ですが普通の言葉でいうと、利益、または主観的な満足度、充足度のことです。「幸せ」と言い換えることもできます。
労働による利得として給料の金額を増やす方法はいろいろあります。例えば
- できるだけ長時間労働に従事する
- できるだけ時間給の高い労働に従事する
- 労働密度の高い労働に従事する
具体的には高給ブラック企業というところで働くことがこれにあたります。労働環境は劣悪で、仕事が辛い分たくさんの報酬を稼げます。
ただしこれらの方法では、たくさんの報酬を稼げますが、一単位の労働力や時間あたりの報酬は決して高いものにはなりません。なぜなら報酬を得るための分母、つまり投入する労力や時間が多いためです。
また短時間で稼げることを謳う労働も割がいい仕事とは限りません。なぜなら短時間で稼げるということは、労働の密度が高く、投下労力あたりの報酬で計算すると辛い割には報酬が少ないという結果になりかねないからです。
ですから労働の対価は投入する時間だけではなく、投入した労力も検討する必要があります。投下労力に対する利得はどのようにしてあげればいいのでしょうか。
以下でそれを解説します。
投下労力に対する利得を上げる方法

投下労力利得を上げる用法は以下の通りです。
仕事の手を抜く
投下労力あたりの利得をあげる簡単な方法として、仕事の手を抜くという方法があります。露骨にさぼるとなぜかわかりませんが人が怒ってきたり、風当たりが強くなったりとマイナス面が出てきてしまい逆に損です。
頑張って仕事をしているように見せかけながらいかに仕事の手を抜くかがポイントです。雇用契約を結ぶ形の普通の仕事は、シンプルに言うと時間給の概念で仕事をします。仕事の手を抜こうが汗水たらして一生懸命動こうが、報酬は変わりません。ということは、投入する労力を少なくすればするほど効用は大きくなるということを意味します。
仕事を頑張っているように見せかけ、好印象を出す、そして少ない労力でお金をもらう。
これが一番オーソドックスな労働効用の上げ方です。
平均年収の高い会社で働く
労働の効用を最大化するには、まず平均年収の高い会社に正社員として入り込むことが正攻法です。「たくさん稼いでいる社員もいる」というキャッチコピーを掲げてくるところは要注意です。一部の人だけに稼がせて、それを売りに甘っちょろい人間を引っかけてくるだけのショボい作戦です。
平均年収とは、その会社の全従業員の平均年収です。平均年齢が40歳だとしたら、40歳の人の平均的給与がこれです。平均年収には高卒の一般職、高卒の工員さんの給与も含まれるため大卒や院卒ならば平均年収はもっと高くなるとみるのが自然です。
平均年収が高いと、給料という名の報酬を得る期待値が高くなるため同じ労力を投入しても高い賃金をもらえる確率が高くなります。
年間休日の多い会社で働く
労働の効用を最大にするためには、まず労働にかける時間をできるだけ少なくする必要があります。それを成立させるためにはまず、年間休日のできるだけ多い会社で働くことが重要です。年間休日が多いというこことは、年間に投入する労働時間が少ないということになり、同じ対価の賃金をもらうための投入時間が少なくなりますので、効用が高くなります。
規模の大きな会社で働く
労働の対価を大きくするには規模の大きな会社で働くべきです。なぜなら福利厚生が充実しているからです。
- 寮・社宅
- 従業員持株会
- 社費留学
- フレックスタイム
- リゾート施設の利用
- 住宅ローンの金利優遇
- 資格報奨金
- 家庭用常備薬斡旋制度
- 法人契約の宿泊施設やジムの利用
- グループ会社の商品の割引券
- 企業年金
- 人間ドッグ
- 積立有給休暇
- カフェテリアプラン
等の福利厚生を受けることができるからです。これらの福利厚生を受けることで投下労力に対する利得をアップさせることができます。
有給休暇は完全消化する
有給休暇を完全消費することにより労働にかける時間を最小限に抑えることができます。これにより時間当たりの報酬額をアップさせることができます。有給休暇は残しておいても消えていきます。買取制度がある会社もありますが有給休暇の買取は法律的にグレーゾーンでありまた買取金額は労働の対価と比較して安いものですから有給休暇は完全消化することが基本です。
会社によっては有給休暇を使いづらい雰囲気の会社もあります。そんな会社に当たってしまったら有給が使いづらく損します。就職活動をするときには公表されている有給消化率を参考に、有給休暇が取得しやすい企業に入るようにしましょう。
労働時間はできるだけ短くする
労働の効用を最大化するには、労働時間はできるだけ短くしましょう。つまり残業はするなということです。時間外勤務は1時間の賃金当たりの1.25倍の賃金を支払うことと法律で定められており、残業をすることは短絡的に考えると所得を増やすことにはつながります。手取りも多くなります。
でも所得が多くなると税率が上がり、手取りを得るための効用が下がってしまいます。また残業をするとストレスと疲労が蓄積し、余暇時間が減ってしまうため残業代が増えることを加味したとしても生活の充足感が下がってしまうことが実証されています。
自動化ツールを活用する
仕事に多大な労力を投入すれば仕事ははかどりますが、仕事の密度を上げてしまうと投下労力当たりのリターンは上がりません。自動化ツールを上手く使い、投下労力を上げないでたくさんの仕事をこなせるようになると効用は増加します。エクセルやマクロの勉強をしたり、作業をするのではなく仕組みを考える時間を多くとって仕事を効率化するようにしましょう。
休憩時間はしっかり休憩する
休憩時間にメールを見たり、作業するのは絶対にやめましょう。休憩時間は休憩するための時間です。休憩時間に仕事をしてしまうと損です。休憩時間はしっかり休憩し、仕事が忙しく定時時間にやり切れない場合は残業して業務し残業代として労働の対価をもらいましょう。
配慮された環境で働く
労働の効用を高める働き方としては、働き方を配慮された環境で働く方法です。会社は従業員に対する安全配慮義務を負っています。例えば、精神疾患を持って休職したことがある従業員に対しては、その従業員が再発をしないよう合理的配慮をする義務があります。
これを能動的に活用すれば、同じ給料で、ストレスが少なく、残業がなく、楽な環境を手に入れることができます。結果このような働き方は報酬に対する投下労力を下げることができるので効用の向上に寄与します。
労働による充足度が変化する要因

ここでは労働の充足度が変化する要因を説明します。
好きな仕事かどうか
自分が好きな仕事をしているかどうかで労働の充足度は変化します。アニメーターの人はとても安い賃金で働いているになぜ辞めないんだろうと思ったことはないですか。それは彼らにとってそれが好きなことだからです。私には賃金労働はただ手っ取り早く現金を稼ぐ手段に過ぎないのでこの考え方には否定的ですが、好きなことをしていると嫌いなことをするより充足度があがるというのは事実です。
職場の人間関係が良好か
労働の充足度、というか働いているときの気分がマシがどうかは職場の人間関係が良好かどうかにもかかっています。苦手な人、全てに対して斜に構える歪んだ性格の持ち主、そういう人がいると、わざわざ事業所に出向くのもばかばかしくなります。
人間の気質は天性のものなので仕方ないですが、手間を大量投入しない範囲内で、適当に愛想をして、懐かせて機嫌を取れば職場の雰囲気も多少はよくなるでしょう。
資産額
労働の充足度が変動する原因には、外部要因のほかに、自分の資産の多寡という概念も存在します。お金がないころは、労働をしてもらえる賃金が資産額に対して多いため充足は大きいです。
例えば貯金20万円の人が20万円の給料をもらった場合、資産は一挙に2倍になります。とてもうれしく感じます。ですが、貯金2000万円の人が20万円の給料をもらっても、もらえる額は同じなのに、資産は1%しか増えないのでそこまで嬉しいと思わなくなります。これは労働経済学による実験により証明されていることです。
労働の対価である給料に対して喜びがなくなってきたのを感じたら、それは次なるステップに進むいいタイミングです。
余暇が多いかどうか
人間の労働の充足度は上で示した資産額以外にも余暇の多さの影響も受けます。
例えば余暇がたくさんあるときに働いて給料を得た場合人間はとてもうれしく思いますが、
余暇を削って寝る時間や趣味の時間まで削ってまで働いて得た給料それなりの金額の給料をもらったとしても一単位の給料を得る喜びは少なくなってしまいます。ですから趣味の時間や体を休める時間まで労働に充ててしまうのはマイナスです。
労働の効用の最大化のまとめ
今回は、労働の効用を最大にするための方法について解説しました。私は、正直な人間です。利得と損失には敏感です。割の合わない労働を「やる気」と「やりがい」でごまかして生きることができるほど器用な人間ではありません。
そして、私は人間はみな経済人(自己の利得の最大化をめざそうとする人間のモデル)であると信じています。そして、「人が自己の利得を追求する行動をとれば、市場の最適な資源分配が実現される。」という説を信じる資本主義の有効性を信奉する人間です。この立場から、労働の効用を最適化する方法について論じさせていただきました。
もし私と同じような考えを持つ方がいらっしゃれば、ぜひ上で紹介した方法で自分の効用を最大化してみてください。人が「やりがい」「自分が成長できる「大きな仕事を任せてもらえる」等というわけのわからない洗脳にヤラれている間に、絶対的な利得をつかんで人を引き離しましょう。そして圧倒的な効用を手に入れましょう。

