これまで高配当株式銘柄を紹介してきました。
今回はカメラや複合機、光学機器メーカーとして有名なキャノンを紹介します。
目次
キャノン株式会社
キャノン株式会社は東京都大田区に本社を構える電子部品、光学機器の製造販売を行う会社です。創設は1937年にさかのぼります。
キャノンの事業は、オフィス向け複合機、レーザー複合機やプリンターからカメラ事業、家庭用インクジェットプリンターまで多岐に及びます。キャノンはビジネス用の事業だけではなく、医療用機器分野でも大きなビジネスを展開しています。
(2024/11/10 04:07:49時点 Amazon調べ-詳細)
キャノンの沿革
キャノンの歴史は吉田五郎がライカII型を購入しその模倣品を作成したところから始まります。キャノンの前身は1933年に吉田五郎・内田三郎らが立ち上げた精機光学研究所という光学機器の研究所です。
精機光学研究は1933年に日本で初めてプレーンシャッターカメラの「Kwanon(カンノン)」を試作しています。1935年には世界で通用するカメラのブランド名としてCanonを採用し商標登録をおこなっています。
キャノンの製品
キャノンの製品には以下のようなものがあります。
ビジネス向け機器
キャノンのビジネス向け機器は事業の大きな柱の一つです。
オフィス向け複合機は、売り切りではなく、リースのため、安定したキャッシュフローをもたらしてくれます。キャノンの製品は光学技術に定評があるためそこそこのシェアを持っています。
在宅勤務のためオフィス向けの需要は低迷しても家庭向けのインクジェットプリンターでもキャノンは高いシェアを持っています。キャノンは業務用プロジェクターも取り扱っており、医療現場、美術館などの高画質を望む市場を開拓しています。
情報機器
キャノンは電卓や電子辞書でも一定のシェアを持っています。電子辞書はネットにつながったスマホに用途を奪われていますが一定の需要があります。
半導体露光装置
キャノンは半導体製造装置でも半導体露光装置という製品を世に送り出しています。半導体製造装置以外にも、真空技術などを生かし、ディスプレイ、太陽電池などの製造装置も開発製造しています。
光学機器
キャノンといえば、カメラです。キャノンはデジタル一眼レフカメラの品質で世界でもトップです。レンズ交換式カメラでも世界トップシェアを持っています。レンズ交換式のカメラのほかに、ミラーレスカメラも首位のシェアを獲得し確固たる地位を築いています。
コンパクトデジカメも一通り取り揃えていますが、スマホのカメラの性能向上に伴い市場は縮小傾向です。ですがコンパクトデジカメはビジネスユース向けに一定の需要があります。キャノンは業務用のビデオカメラやシネマカメラ、センサーも開発販売しています。
医療機器
キャノンは医療用機器の分野でも眼科用測定機器やX線撮影機、医療用画像記録装置、遺伝子診断機器、血圧計などを製造しています。
キャノンの経営分析
キャノンといえばカメラの会社だというイメージがありますが、実際にはキャノンの利益の50%以上はオフィス機器からもたらされています。近年はリモートワークと資料の電子化で印刷する紙の枚数が減る傾向にあります。ですからこれはキャノンの経営にとっては売上にマイナスの影響を与える要素となりえます。
また、キャノンは海外売上比率が80%ですので外国為替の影響を強く受けます。円安になれば売り上げ、利益は伸びますが、円高になれば、利益が圧迫されます。外国為替が経営に影響を与える銘柄であることを覚えておきましょう。
これまで収益の柱だったオフィス機器ビジネスはデータの電子化の進行により頭打ちを見せています。今後は、成長戦略として医療部門に注力することが重要だとみられています。そこでキャノンは医療部門を強化するために東芝メディカルシステムズを買収しています。
キャノンの強み
キャノンの強みは、世界トップクラスの光学技術と多角化、高い海外売上比率にあります。キャノンの高価格帯のカメラは今でも強いブランド力があります。コンパクトカメラの需要は低迷していますが、法人利用で一定の需要があります。
事務機や複合機を早くから手掛けたことは、売り切りビジネスから脱却し、継続的に利益を見込めるビジネスに参入したという点で画期的です。複写機には、カメラ事業で培われた光学技術の転用、応用が威力を発揮しています。
キャノンは海外売上比率が高い輸出銘柄である点にも注目する必要があります。今後人口が減少するといわれている日本の経済規模は縮小します。経済規模の縮小は売り上げ、利益の低下に直結しますが、キャノンは海外販売比率が高いため、今後も海外から安定した売り上げが見込めます。
特にキャノンの売り上げは欧州、北米、アジアのバランスがいいことが特徴です。個別の市場の景気動向に左右されにくい構造になっていることが特筆できます。
今後は光学技術や映像技術、医療機器で培った技術をその他のシナジーが発揮できる分野への展開できるかが企業発展の要になるとみています。
キャノンの注意点
キャノンは利益率が高い企業として有名でしたが最近は利益率は低下傾向にあります。世界的なデータの電子化、ペーパーレス化に伴い、ハードコピーへの印刷枚数は減少傾向にあります。よって国内事業の売り上げは今後は減少していくとみています。
カメラ付きのスマホの台頭によりコンパクトデジカメの需要は減少しており、今後も売り上げが伸びることはないでしょう。
海外売上比率が高いということは、為替動向が企業経営に与える影響が大きいということです。円安では利益が増えますが、円高時には利益が圧縮されます。経営が為替レートの影響を大きく受ける構造であることを認識しておく必要があります。
キャノンの経営動向や株価
ここではキャノンの経営動向や株価について考察します。
株価は低空飛行
キャノンの株価は東証の中では低空を飛び続けています。キャノンはもともと高収益企業として有名でしたが、リーマンショックのあとは営業利益が低下しています。現在はキャノンの営業利益率は10%を下回る状態が続いています。
キャノンのPERとPBR
キャノンの株価(2022年7月28日)から計算されるPERとPBRは以下の状況です。
- キヤノンはPERが約12.6倍で、適正な水準
- キヤノンはPBRが約1.04倍で、適正な水準
となっています。
キャノンは高配当利回り株
キャノンの配当利回りは3.78%(2022年7月28日)です。
東証に上場している企業の配当利回りは2%強ですのでキャノンの配当利回りは比較的高利回りの部類に属します。
配当金の推移
キャノンの配当金は長期的に見れば増加傾向にあります。長期保有を前提にするならば、配当額の増加に伴う株価上昇は期待できます。
キヤノンの株主優待
キャノンには株主優待はありません。
キャノンの競合企業
キャノンの企業には、富士フィルム、リコー、コニカミノルタ、ニコンなどがあります。
キャノンのまとめ
今回は比較的高配当な銘柄として人気のあるキャノンについて紹介しました。かつてほどの好業績を維持しているというわけではありませんが、経営状況はいまだ健全なキャノン、そこそこの高配当銘柄、輸出企業として安心して保有できる銘柄です。
全体的なリスクオフに押される形でキャノンの株価が大きく値下がりしたタイミングでは、仕込んでもいい銘柄だと思います。
今回はキャノンをまとめてみました。このブログが皆様の株式投資の参考になれば幸いです。なお投資の最終判断は個人の責任でお願いいたします。