2020年2月7日、日本製鉄が、2019年度の通期業績見通しで4400億円の赤字を発表しました。私は2005年、住友金属時代から日本製鉄の株式を保有しています。自分の資産に関わる問題の為、このニュースには大きな関心を持ちました。
本日は、日本製鉄について解説します。
日本製鉄とは
日本製鉄株式会社東京都に本社をおおく、日本最大の鉄鋼メーカーです。粗鋼生産量において日本最大手、世界では、ルクセンブルクのアルセロール・ミッタル、中国の宝武高鉄集団につぐ世界第3位の規模を持っています。
日本製鉄は官営八幡製鐵所の流れを汲む新日本製鐵と、住友グループの鉄鋼メーカーであった住友金属工業が合併して新日鐵住金となり、2019年に日本製鉄に商号を変更したものです。
新日鐵は、1970年代には日本で売り上げ最大のメーカーであり、1980年代にトヨタ自動車に抜かれるまで、長年その地位にありました。住友金属は、住友グループの中核企業であり、鉄道車両品、シームレスパイプに強みをもっていた鉄鋼メーカーでした。
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日本製鉄の対応
鉄源一貫生産に関する競争力強化のために、日鉄日新製鋼の呉製鉄所を閉鎖し、和歌山製鉄所第1高炉を停止するとしています。
赤字及び事業整理の理由
鉄鋼業界では国内需要が縮小する一方、中国メーカーの台頭により、価格競争が激化、設備の合理にて抜本的な収益構造の転換を加速させようとしています。新日鉄と住友金属の合併によりシナジーが生まれることを期待していましたが今回更なる改革を図ろうとしています。全体的な構造改革の結果、粗鋼生産能力の減少は全体の1割前後に相当する年間約500万トンに達する見込みとのことです。
企業価値及び株価への影響と投資判断
成熟企業には売り上げの成長が見込めないことは一般的ですが、市場規模の縮小を受けると企業価値は縮小せざるを得ず、株価はこれを反映していきます。よって株価は長期的に上がる可能性は低いと考えます。合理化により企業体質の強化が成功しても、全世界での経済規模が拡大しない限り、売り上げの上昇、利益の向上が見込めないからです。
よって投資判断は中立となります。「売り」としない理由は、現在日本製鉄の株価はPBRとしては0.5倍と割安であるため、ここから売り、または保有株を早急に手放す必要があるかと言えば疑問があるからです。
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日本凋落の象徴
私はこの日本製鉄のニュースをみて、これがまさに「日本凋落の象徴」だと感じました。人口減少が引き起こす経済規模の縮小。ただ、これは過去にヨーロッパのフランスなどが経験したことであり、日本は欧州に学ぶべきところがあると思います。
移民が流入しつづけ経済規模が拡大し続けているアメリカ、旧植民地からの人口流入があるイギリスはあまり参考にならないかもしれませんが、経済規模がうちどまりするなか、好調な景気を維持し世界に影響力を及ぼす国も見られるからです。
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投資家がするべきこと
世界経済がどのようにすればよくなるか、日本経済を立て直すには、という問題に時間をかけることは間違っています。投資家が考えることは、投資主の利益を最大化することです。このためには保有する株式を売却する場合もあれば、そのままホールドを選択することもあります。
経済問題、政治はその手の専門家にお任せするとして、投資家、経営者は「金を儲ける」「利益を出す」ことに資源を集中投下しましょう。