皆さんは障害者虐待防止法という法律を知っていますか。障害者虐待防止法は、社会全体で障害者の権利と尊厳を守るために施行された法律です。
精神障害者として障害者雇用をされてる方がこの法律を知っておけばいざというときに自分の立場と身を守るのに大いに役立ちます。
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本日は障害者虐待防止法の概要、活用方法について解説します。
目次
障害者虐待防止法とは
障害者虐待防止法は平成24年に施行された法律で、社会全体で障害者の権利と尊厳を守るために虐待を禁止するとともに、その予防と早期発見、虐待を受けた障害者の保護、支援に取り組むことを目的として定められた法律です。
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障害者の定義
障害者虐待防止法でいう障害者の定義とは、身体障害、知的障害、精神障害そのたの身心の機能障害があり、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの、としており、障害者手帳がない場合もこれらに含まれるとされています。
障害者虐待防止法では障害者の定義の他に、使用者についても定義を定めています。使用者とは障害者を雇用する事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者、と定められています。
使用者による虐待
障害者虐待防止法では使用者による虐待の類型が示されていますのでここではそれを紹介します。
身体的虐待
障害者の身体に外傷を生じさせたり、それが発生しうる恐れのある暴行を加えたり、正当な理由なく障害者の体を拘束すること、過剰な投薬により体の動きを抑制させること。例えば、平手打ちする、殴る、ける、叩く、つねる、物を投げつける、縄で縛る、閉じ込めるなどです。
性的虐待
障害者にわいせつな行為をしたり、障害者にわいせつな行為をさせることです。例えば性的な行為や接触を強要する、わいせつな会話、わいせつな映像を見せる等です。
心理的虐待
障害者に対する暴言や、著しく拒絶的な対応、または不当な差別言動等、障害者に著しい心理的外傷を与える言動がこれに当たります。
例えば、言葉や行動により脅迫を行う、人格を傷つける、怒鳴る、罵る、悪口を言う、心を傷つけるような心無い発言を繰り返す、等です。侮辱の言葉や態度も心理的虐待に当たります。これらの他にも、仲間はずし、無視、差別的な扱い、強制的な労働も心理的虐待にあたります。
放棄、放置による虐待
障害者を衰弱させるような著しい減食または放置や事業所で使用される他の労働者による放置も虐待に当たります。
食事や水分を与えない、排泄、入用、洗濯などの世話や介助をしない、福祉サービスを受けさせないなどがこれに当たります。例えば、仕事を与えずに椅子に座らせたまま放置する、意図的に無視をする、他の労働者による虐待行為の放置等。
経済的虐待
障害者の財産を不当に処分する、または障害者から不当に利益をえること。具体的には、障害者に給料や割増賃金を払わない、有給休暇を与えないこと、そして最低賃金未満の賃金支払いを行う。日常的に必要な金銭を渡さない、商品を売りつける、不当に利益を得るなどが該当します。
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障害者虐待の区分
障害者虐待には以下の区分があります。
- 養護者による虐待
- 障害者福祉施設従事者による虐待
- 使用者による虐待
特に使用者とは障害者を雇用している事業主などを言います。
障害者虐待防止法における使用者の責任
障害者虐待防止法では使用者の責任として以下のようなものが定められています。
労働者に研修を実施する義務
雇用者は障害者の人権、障害の特性への配慮や理解、接し方について理解させ、虐待を防止するよう研修を儲ける義務
障害者やその家族からの相談窓口の設置
相談窓口を設置すること、また相談窓口があることを社内に周知する義務があります。
通報者への不利益な取り扱いの禁止
使用者は、通報があったことを理由にその労働者を解雇したり、降格させたり、不利益な取り扱いをしてはならないことが法律に明記されています。
障害者への虐待行為と刑法
障害者に虐待行為を行うと次のような刑事罰の対象になる可能性があります。
身体的虐待
- 殺人罪
- 傷害罪
- 暴行罪
- 逮捕監禁罪
性的虐待
- 強制わいせつ罪
- 準強制わいせつ罪
- 強姦罪
- 準強姦罪
心理的虐待
- 脅迫罪
- 強要罪
- 名誉棄損罪
- 侮辱罪
放棄・放置
- 保護責任者遺棄罪
経済的虐待
- 窃盗罪
- 詐欺罪
- 恐喝罪
- 横領罪
障害者雇用で働く人が虐待を受けたら、虐待を見つけたら、障害者雇用で働いる自分が虐待を受けている、障害者雇用で働いている人が虐待を受けているのを見かけたとおもったら、勤務先の窓口か、地方公共団体の窓口に連絡通報しましょう。
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障害者虐待防止法を活用する場面
ここでは障害者虐待防止法を活用する場面を紹介します。
パワハラ
障害者虐待防止法で規定された虐待とパワハラ防止法で規定されたパワハラの典型例は重複する部分が多々あります。よってパワハラを受けた際には障害者虐待防止法にも触れることが多いです。
障害者であることを知りながらのパワハラは悪質です。
暴力や、暴言、著しく拒絶的な態度、差別言動等、障害者に著しい心理的外傷を与える言動、例えば、人格を傷つける、怒鳴る、罵る、悪口を言う、これらはいかなる理由であったとしても障害者虐待防止法で禁止された行為に該当します。
障害者枠で雇用される人の労働環境改善
障害者虐待防止法を知っていることで障害者枠で雇用される方の労働環境改善が図られます。障害者障害防止法で禁止された行為を雇用者が行っていないかを確認し声を上げることができるようになるからです。
は障害者虐待防止法の概要、活用方法について解説します。
まとめ
障害者がどのような理不尽な行為により上記の虐待が発生したかは定義されてません。いかなる状況でも上記のような事象が発生すれば、障害者虐待防止法に触れることになります。
つまり雇用者は、障害者虐待防止法で規定された虐待を、いかなる理由があっても行ってはならないことになります。と言うことは、心無い言葉、拒絶的態度、悪口から守られるということにつながります。
障害者雇用で働き、そこそこの待遇で軽作業をこなし、パワハラ防止法と合わせて障害者虐待防止法でも守られる状況で働けば、不合理ないわゆる「障害者いじめ」を避けつつ安心して働くことができるでしょう。
障害を理由として虐待をうけたら届け出をし発見したら通報を行いましょう。メールや電話による通報窓口は県や市町村及び会社にも設置されています。障害者虐待防止法を通じ、障害者の虐待を防いでいきましょう。