会社員が加入する社会保険には、健康保険、介護保険、雇用保険(40歳以上が対象)、厚生年金保険、労災保険があり、毎月保険料が給料から天引きされています。皆さんはこれらの社会保険がどのような基準をもとに計算されているのかご存じでしょうか。
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実は、これらの社会保険料は、4月、5月、6月の給与の金額により計算されています。つまり、4月、5月、6月の給料を調整することにより、天引きされる社会保険料をコントロールすることが可能になります。
社会保険料の中でも、厚生年金保険料以外の健康保険、雇用保険については、どれだけ払っても、享受できるサービスは同じです。ですから支払う額が少なければ少ないだけ得になるわけです。
本日は、社会保険料を少なくし、効率よく手取りを増やす方法及びその注意点について解説します。
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目次
社会保険とは
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社会保険とは、一般的に社会保障制度全般を指し、健康保険、介護保険、雇用保険のことを言い、厚生年金保険を含みます。本人、又はその扶養者の病気や死亡、失業、介護などに備えるものとして給与から天引きされ徴収されます。一週間に30時間以上労働時間がある場合強制加入となります。雇用保険は週20時間以上労働時間がある場合は、加入の必要があります。
社会保険は、国家の負担、事業者の負担、加入者の負担により、母集団を強制的に拡大し、相互扶助の精神のもと、所得の再分配を行う制度といえます。また社会保険料の費用負担は労使折半(事業所と労働者が半分づつ負担)となります。
社会保険料の決まり方
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社内保険のうち、健康保険、厚生年金保険、介護保険料はどのように決定されるのかを見ていきましょう。
健康保険、厚生年金保険、介護保険料の決まり方
健康保険、厚生年金保険は、4月、5月、6月の総支給額(基本給+残業手当や通勤手当、家族手当、住宅手当などを合算した額)を元に等級分けし算出される「標準報酬月額」によって決まります。
年4度以上支給される賞与は、標準報酬月額の対象となります。賞与は一般的には年2回支給する企業が多く、私の知る限りでも3回のところが最大です。これは標準報酬月額との関連性があると思われます。「標準報酬月額」によりその年の9月から翌年9月までの社会保険の負担金額が決まります。
標準報酬月額の決まり方は以下の3種類があります。
入社時
厚生年金加入の際の給与の額をもとに計算されます。
定時決定
年1回、つまり4,5,6月の支給額から算定されます。
随時改定
大きな変更がある場合、たとえば昇給、降級、育児休業などです。年3回以下の賞与は標準報酬月額の計算には含まれません。
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健康保険料、厚生年金保険料の金額が高くなる理由のまとめ
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上述のため、4月、5月、6月に支払われる残業代を多くしてしまうと標準報酬月額等級があがってしまい、健康保険料、厚生年金保険料の金額も高くなってしまいます。
標準報酬月額の申し立て
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4月~6月の給与が他の月の平均給与と大きく乖離するような状態が業務の性質上例年見込まれる場合は申し立てを行い、それが認められれば、「年間の平均支給額」をもとに保険料を決定してもらうことも可能です。
保険料率について
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保険料率は、厚生年金保険の保険料率であり、は加入者一律で18.3%です。健康保険と介護保険の保険料率は健康保険によって異なります。
また雇用保険は給与総支給額に雇用保険料率0.3%を掛けた額計算されます。よって4月、5月、6月の支給額を気にする必要はありません。
4月、5月、6月の支給額によって税金は変わるのか?
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4月、5月、6月の給料が影響するのは、健康保険料、厚生年金保険料という社会保険料を算出するための標準報酬月額です。よって税金の算出基礎資料とはなりません。
保険料の具体的計算例
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以下にて保険料の具体的計算をしてみましょう。
40歳、東京都在住のサラリーマン高橋さん(仮名)
基本給24万 通勤手当1万円の場合
- 4月30日給与総支給額:300000円(3月後半、4月残業分5万円含む)
- 5月30日給与総支給額:300000円(5月残業分5万円含む)
- 6月30日給与総支給額:300000円(6月残業分5万円含む)
報酬月額は(300000円+300000円+300000円)÷3=300000円となります。
標準報酬月額は給与計算の対象となる月ではなく、4月、5月、6月に実際に支給された支給額が計算の元となります。ですから、3月後半から5月にかけて多く残業すれば、それが標準報酬月額に反映されてしまい、当年の9月から翌年の8月までの保険料に反映してしまうわけです。
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標準報酬月額を抑えることは損か得か?
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標準報酬月額を抑えることは損になるか得になるは、考え方によりますが、私はやや得になるのではないかと考えます。
考慮するべきポイントは4点です。
- 標準報酬月額を抑えれば社会保険料を低く抑えることができ手取りが増える。
- 標準報酬月額は厚生年金の積み立てと支給額に影響する。
- 標準報酬月額は傷病手当金の支給金額の元となる。
- 標準報酬月額は出産手当金や育児休業給付金の支給金額の元となる。
ですから、標準報酬月額を低くすれば絶対的に得かということは言えないと思います。
ですが、いくら払い込んでも3割負担という同じサービスしか受けることができない健康保険について、余分な負担をする必要は全くありません。厚生年金の支給額に影響するという部分については、個人型確定拠出年金、個人年金、資産運用による老後資金の確保にて代用は可能です。
また傷病手当金、出産手当金や育児休業給付金を受領する可能性は相対的に低いものであるため総合的な期待値を勘定に入れれば、標準報酬月額は最低にしておくことが最適解になると考えます。
します。
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まとめ
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本日は、4月、5月、6月の残業を控え、手取りを多くする方法について解説しました。
4月、5月、6月の給料に反映される期間の残業はゼロにするようチャレンジしましょう。これによって健康保険の負担金を極小化しましょう。残業は7月~3月に偏らせましょう。負担金が安くても高くても医療費が3割負担で変化がないなら、負担する金額が多い者ほど損がいきます。
もちろん厚生年金保険への負担金を減らせば厚生年金、厚生障害年金の支給額も減ることになりますが、健康保険の天引き額が減ることによる手取りの増加分を利用して、iDeCoを積み立てるなり、資産運用をすることにより補完することは十分可能です。
社会保険、税金、金融商品は知識を身につけうまく活用すれば、自分の味方になってくれます。仕組みを知らなければ、一生仕組みに搾取され高い金を払わされ続けます。
いろいろな仕組みを積極的に勉強し、これを活用して有利に要領よく生きていきましょう。
本日の記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
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