生き方

ハゲタカ ~NHKのドラマにもなった経済小説~

土曜ドラマハゲタカ

皆さんは2007年にNHK総合テレビの「土曜ドラマ」枠で放送された「ハゲタカ」というドラマをご存知でしょうか。ハゲタカは、真山仁の経済小説である「ハゲタカ」シリーズをもとに制作されたドラマです。私はこのドラマをみて、大きな衝撃を受け金融業界やファンドビジネスに興味を持つようになり今日に至っています。

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本日は投資家が一度は見るべきドラマシリーズとしてお勧めするハゲタカについて解説します。

ハゲタカ

白頭鷲白頭鷲

ハゲタカは、元新聞記者で作家の真山仁による経済小説であるハゲタカとバイアウトを元に造られた全6回のテレビドラマです。私は何となくテレビのチャンネルを回していたときハゲタカのドラマに出会い、度肝を抜かれました。当時は小泉政権で景気は好調、そして村上ファンド等「ものいう株主」が活躍する時代でした。

ハゲタカのストーリー概要

イヌワシイヌワシ

ある事件をきっかけに三葉銀行を退職し単身アメリカに渡った鷲津正彦は、アメリカでファンドマネージャーとして数々のプロジェクトで驚異的なパフォーマンスを残した。そして、ホライズン・インベストメント・ワークスの日本代表として帰国した。不良債権を買い叩くために、そして腐った日本を買い叩くために。

鷲津は三葉銀行が抱える不良債権をバルクセール案件として買い取るために三葉銀行を訪れた。そこでかつての鷲津の上司であった資産流動化対策室の室長の芝野健夫と再会した。

芝野健夫は不良債権処理の案件として、老舗旅館の西乃屋の対応にも携わっていた。西乃屋の不良債権は、三葉銀行からホライズンの手に渡り、その後ホライズによって売りさばかれたことがきっかけで西乃屋の社長の息子である西野治はITベンチャー企業を起こし、鷲津が目指していた大手電機メーカーの買収の前に立ちはだかる。

主な登場人物

イヌワシイヌワシ

ハゲタカの主な登場人物は以下の通りです。

鷲津政彦

外資ファンドであるホライズンインベストメントワークス日本法人の代表。平成3年三葉銀行入行、丸の内支店で法人営業を担当。仕事のトラブルにより平成5年に退社。その後アメリカでホライズン社に入社し、企業再生ファンドで数々の実績を上げる。

芝野健夫

三葉銀行のエリート行員。人事部、海外留学、国際業務という傷のつかないコースを歩み
資産流動化対策室室長となり、三葉銀行の不良債権処理に奔走する。後に三葉銀行事業戦略部部長となるが、第3回で三葉銀行を退職し、企業再生家として大空電気の取締役となる。後にあけぼの工学の代表取締役社長となる。

西野治

熱海の老舗旅館「西乃屋」の社長の息子。実家の西乃屋が売り飛ばされた後家出し、夜勤の警備と株式トレードで300万円の企業資金を集めた。

IT企業ハイパークリエーションを起業し、TOBを仕掛けられた大空電気のホワイトナイトとして登場し、ホライズンと苛烈なTOB合戦を繰り広げた。西野治はその後インサイダー取引で逮捕され、鷲津の目の前で拳銃自殺を図ろうとするも鷲津に止められ、鷲津を誤射してしまう。

土曜ドラマハゲタカ各回のエピソード

ハゲタカハゲタカ

土曜ドラマハゲタカの各回のエピソードを以下にまとめました。

第1話 日本を買い叩(たた)け!

1998年、米国の投資ファンドの敏腕ファンドマネージャー鷲津正彦は、日本で不良債権を買い叩くため帰国。かつて務めていた三葉銀行の不良債権をまとめて買い上げるバルクセールを行い、元上司の芝野健夫と再開する。

鷲津は芝野が再生の可能性があるとして目を掛けていた西乃屋旅館の債権を競合先に売り飛ばし、それがショックで西乃屋旅館の経営者である西野治の父親は自殺する。その一部始終を目にした記者の三島由香、この4人の物語がスタートする。

第2話 ゴールデン・パラシュート

三葉銀行とのバルクセールの取引で成功を収めたホライズンは、2000年、玩具メーカー「サンデートイズ」の債権を取得し、社長である大河内瑞恵に会社売却を迫ろうとしていた。サンデートイズは木工玩具で定評のある老舗玩具メーカー、製品開発力には定評があるものの同族会社としての会社の私物化のせいで負債が膨らみ経営危機に陥っていた。

メインバンクの立場としてサンデートイズに経営再建を提案する芝野とホライズンは対立する。社長交代を狙い瑞恵の息子伸彰にゴールデンパラシュートを仕掛ける鷲津。伸彰が芝野友にコンタクトをとり自らが作成した再建計画を提出するも鷲津はこれを一蹴する。

役員会では解任動議が提出され、大河内瑞恵が解任されてしまう。芝野がオーナー一族を説得した結果だった。鷲津は芝野に出し抜かれたことに憤り次の戦いを決意した。

第3回 終わりなき入札

サンデートイズの再生スポンサー選定は入札(どちらかが降りるまで続けられるサドンデス方式)となり、三葉銀行系ファンドとサンデー再建を目論む芝野と解任された元社長の大河内瑞恵を担ぎ出した鷲津の一騎打ち。

大河内瑞恵は息子の現社長である伸彰と三葉銀行から出向している役員とが架空取引で金を横領していることをリークしたのだった。鷲津はそれをテレビ局記者の三島由香にリークした。この回で、テレビの記者会見で鷲津は「お金を稼ぐことがいけないことでしょうか」という発言を行った。

第4話 激震! 株主総会

2004年三葉銀行を退職した芝野は企業再生家として大空電機の再建に取り組んでいた。一方鷲津は大空電機の株式を大量に取得し筆頭株主に躍り出、不採算部門の切り離しによる再建を模索。

鷲津の方針は、日本経済のカリスマである大木会長の経営方針に真っ向から対立するものであり、経営陣、芝野側と筆頭株主の鷲津率いるホライズンとのし烈な議決権争奪戦が繰り広げられた。

第5回 ホワイトナイト

大空電機の株主総会ではホライゾンの株主提案は否決された。これを受け、鷲津は大空電機に対するTOB(株式公開買い付け)をすることを決意する。

ここで鷲津はニューヨークの本社とは連携せず独断で中国の大手電機メーカーと提携する交渉を始めるが失敗。そしてここに新興IT企業の社長となった西野治がホワイトナイトとして現れる。

第6回 新しきバイアウト

ホライズンと西野治が激突したTOB合戦を制したのはホライズンのニューヨーク本社だった。ニューヨーク本社は大空電機の株を取得し、鷲津はホライズンを解雇されてしまう。
大空電機に残った芝野はホライズンから派遣された新社長のもとでリストラを進めていく。

鷲津と芝野は手は大空電機の再生のため手を組んだ。従業員自らが株式を買い取るEBO(エンプロイーバイアウト)によって。

ハゲタカに登場する金融用語

ハゲタカハゲタカ

ここではハゲタカで登場する金融用語を簡単に解説します。

バルクセール

バルクセールとは、金融機関などが保有する不良債権や不動産んを纏め売りすることを言います。バルクとは「まとまった状態」という意味です。収益性のあるものも、回収が絶望的な債権、利害が絡む担保不動産も詰め合わせてセットで売り出すことで、金融機関は不良債権を一件づつ処理するという莫大な労務費を削減することが可能になりました。

M&A

企業の合併・買収のことを言います。M&Aを使うことで事業部門を一から立ち上げ成長させる代わりに優れた収益力と技術力、優良顧客を持つ他社や他社の一部門を買い取り成長の時間を節約したり、自社の経営効率化のため収益性の低い部門を他社に譲渡したりすることができます。または会社を丸ごと他社と合併させたりする取引全体を包括したが概念です。

TOB

TOBはテイクオーバー・ビッド、株式公開買い付けのことです。買付期間、買い取り数、買い取り価格を公示し、多数の株主から株式市場外で株式を買い集めて、株式を取得して会社の経営権を取得するための手法です。ライブドアの日本放送株取得、村上ファンドの阪神株を取得した事件などから、3か月以内に、市場外で5%超を取得、市場内と合わせて10%超の株式を取得し株の保有割合が3分の1を超える場合は公開買付けを行うことが義務付けられました。

ホワイトナイト

ホワイトナイトとは「白馬の騎士」ともいい、企業買収により会社が乗っ取られようとするときに手助けしてくれる企業のことです。敵対的買収を受ける側の権益を守ったり、敵対的買収者の代わりにホワイトナイトに買収されても現経営陣が経営者として残れるようにしてくれるといった有利な条件を持ち込んでくれることがあります。

プロキシーファイト

プロキシーファイトとは株主の委任状争奪戦の事です。株主が株主総会において自の株主提案を可決させるために議決権に関わる委任状を集めて会社の経営陣と争うことを言います。
過去の事例としては東京スタイルの株主総会で村上世彰が率いる村上ファンドが配当金の大幅増額と自己株式の取得、取締役の選任を求めて起こしたプロキシーファイトが有名です。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは高額な退職金を経営者に出すことを言いますが、ハゲタカでは経営陣に退陣を迫るための方法論として用いています。

買収する側のファンドが、買収が成功した暁には現行の経営者は高額な退職金を出すように取り計らう、という条件を提示し、現経営陣に金銭的インセンティブを与えることにより、取締役会での買収反対論をマイルドにしたり、買収を受け入れやすいようにするために活用されます。

会社の買収により経営者が解任された場合に巨額の退職金を支払う規定をあらかじめ設けることにより会社の価値を低下させる買収防衛策として使われることもあります。

エンプロイー・バイアウト

エンプロイー・バイアウトとは英語でEmployee Buy-Out、略称をEBOといい、会社の従業員が会社の事業を買収したりすることを言います。経営陣が会社を買収する場合はマネジメント・バイアウト(MBO)と言います。

企業で雇用契約に基づき勤務する従業員は本来会社の所有者ではなく経営に関与することはありませんが、その従業員が自己資金や借入金で会社の株式を取得し、経営するというのがエンプロイー・バイアウトです。第三者の投資家からの企業買収に対抗するために使われることもある手法です。

ハゲタカの参考になったエピソードや関連団体

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ここではハゲタカに登場する場面の元ネタとなったエピソード、関連企業や事件について紹介します。

「お金を稼ぐことがいけないことでしょうか」

鷲津政彦が記者会見で口にした「お金を稼ぐことがいけない事でしょうか」という言葉はニッポン放送株取引でインサイダー取引をしたとして逮捕された村上世彰が記者会見で記者に放った言葉がもとになっています。

時代の寵児、IT企業の社長として世間の注目を一身に集める西野治がインサイダー取引で逮捕される場面は、同時期にライブドアの粉飾決算の容疑で逮捕されたホリエモンこと堀江貴文がモデルになっています。(ただし堀江貴文氏は粉飾決算の容疑で逮捕されたのであり、インサイダー取引は行っていません)

大空電機のカメラレンズ事業部を中国の電機メーカーのテクスン社に引き受けさせようとしたエピソードは1983年にヤシカを合併した京セラが2007年にカメラ事業から撤退し、ヤシカの商標権を香港のJNCデイタム・テック・インターナショナルに売却したことがモデルです。

ホライズンという投資ファンドのモデルはユニゾンキャピタルやコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)というアメリカ・ニューヨークを拠点とする投資ファンドがモデルです。

三葉銀行のモデルは三和銀行であり、小説版では三葉銀行は住倉銀行と合併しMGS銀行となります。

大空電機は富士通や東芝などの大手電機メーカーをモデルとしています。サンデートイズのモデルは東ハトです。

まとめ

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NHK総合テレビの「土曜ドラマ」枠で放送された「ハゲタカ」について解説しました。金融機関で勤務されている方、個人投資家の方、企業経営者の方にとってもぜひ見ていただきたい最高の経済ドラマです。NHKで放送された後、2009年には映画「ハゲタカ」が、そしてその後民放でも再構成したドラマが放送されたほどの人気を誇ります。

特に2000年代前半に起こった村上ファンド事件、ライブドア事件などを知っている方には馴染みのあるエピソードが盛り込まれ世界観にはまることは間違いありません。

ハゲタカシリーズは小説も面白いですが、まずはNHKの土曜ドラマの映像作品を見てみてください。

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こんじゃるか
こんじゃるかブログを運営しているサラリーマン投資家です。中堅私大を卒業後、中小企業に就職、27歳で退職後大学院進学、大学院卒業後2011年から現職です。うつ病で休職→復職→再休職も経験してます。投資を始めFXを中心に、投資信託、高配当株、ソーシャルレンディングで資産運用中です。節約術も紹介します。
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