皆さんは疾病利得という言葉を聞いたことはありますか?疾病利得とは、病気にかかることにより得られる利得、つまりメリットの事です。
うつ病や精神疾患にかかってしまった、最悪だー、人生は終わりだーと思ってどん底のふちにおられる方もいるかもしれませんが、冷静に考えるとうつ病や精神疾患には結構お得な疾病利得があることが分かります。
本日はうつ病の疾病利得について解説します。
目次
うつ病の疾病利得一覧
うつ病の疾病利得には以下のようなものがあります。
精神障害者健康福祉手帳が取得できる
うつ病になれば精神障害者健康福祉手帳を取得できます。精神障害者健康福祉手帳は障害が重いほうから一級、二級、三級とあり、様々な福祉サービスを受けることができます。
自立支援医療で医療費が安くなる
うつ病になると自立支援医療という制度を受けることができます。これは特定の心療内科と薬局の医療費の自己負担を1割にしてもらえる制度です。
所得により、一か月の医療費の上限額などが決まっていますが、長期的な通院を余儀なくされる精神医療において、医療費が安くなるのはありがたい限りです。
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仕事が楽になる
うつ病になり、それをオープンにして働けば仕事の負荷を調整してもらえるので仕事が楽になります。
普通に一般枠で就職し、途中で障害者になり、途中で障害者手帳を会社に提出した場合は、障害者雇用となりますが待遇が以前のままの場合もあります。その場合でも会社はうつ病を患いながら働いている方が働きやすいように、または体調を崩さないように配慮する「安全配慮義務」というものがありますので業務負荷を減らしてもらえるようになります。
業務繁忙期に同僚が残業をいっぱいして忙しいときにも定時で帰れます。
昇進を断れる
うつ病で発生する体調の不安定さは、昇進を辞退したい方にとっては昇進を断るもっともな理由になります。特に管理職になれば自分の業務だけではなく部下の管理が必要になり、マルチタスクが求められます。うつ病を患う方はマルチタスクが苦手な方が多い方も多いため、自分のペースで働けるスペシャリストコースを選ぶことをお勧めします。
腫れ物を触るような扱いで接してくれる
うつ病で通院しながら仕事をしていると、「メンタル疾患があるから」ということで、なんというかその腫れ物に触るような扱いで接してもらえるようになります。中にはこれを嫌う方もいるでしょうが、うつ病で働くことはなかなか体力を消耗しますし、配慮もほしいところ、みんなに大事にしてもらっているという気持ちがありがたいと感じるようになります。
怒られにくくなる
うつ病を発祥したり、緩解している方には厳しい言葉は掛けていけません。現在は、啓蒙活動により一般の方にもうつ病の方が直面する不都合なことが理解されつつあります。
うつ病のかたに言うべきではない言葉も周知されつつあり、厳し批言葉を掛けるべきではないということも理解されるようになってきました。ということで、仕事をしていて失敗してしまい、本来怒られるところでも、建設的指導にとどめてもらえる確率が高まります。
急に仕事を休んでも理解してもらいやすい
うつ病は緩解後も体調の波が訪れます。朝起きたら動けない、と言う日もあります。また体調は気圧にも大きく左右されます。その際には、朝から休暇の電話連絡して休みをいただかないといけない日も出てきます。予め、うつ病による体調の波があることを会社に周知し、理解を得ておけば、急に仕事を休んでも理解を得られやすい。
減税
うつ病になり精神障害者健康福祉手帳を取得すると、障害者控除として27万円が所得から控除できます。特別障害者の場合は40万円が所得金額から差し引かれます。また他にも
- 相続税の障害者控除
- 贈与税の非課税
- 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
- 相続や贈与による給付金を受ける権利の取得
- 少額貯蓄の利子等の非課税(マル優)
という税の優遇制度を受けることができます。
交通費の割引がある
精神障害者健康福祉手帳を取得すればいろいろな公共交通機関の割引を受けることができます。
- 地下鉄やバスの割引(地方自治体によってはフリー乗車券が発給される場合も)
- 飛行機の障害者割引
- タクシー1割引き
- 高速バス半額
等のサービスを受けることができます。身体障害者手帳では受けられるものの精神障害者は
受けられないサービスが存在します(鉄道の長距離割引等)ので確認が必要です。
アミューズメントパークや美術館が安く利用できる
精神障害者健康福祉手帳を取得すれば様々なアミューズメントパークに割引価格で入場できます。また美術館も割引価格で入れます。場所によりけりですが、本人と付き添いの人1名まで障害者割引が適用される場合もあります。
体調不良を理由に役職を断れる
社会生活をしていると、職場の役職だけでなく、子供の学校の役職や、町内会の役が回ってくることがあります。
うつ病は体調の波が大きく、体調不良になる確率が高い病気です。ストレスで体調不良が助長されてしまいます。うつ病にはこのような役は大敵です。何とかなると思っても人間関係に挟まれたり、イベントの事を考えたりしてストレスをためてしまい、うつ病を悪化させてしまう可能性が高いです。
役が回ってきたときには、体調不良を理由に役職を断りましょう。精神疾患を抱えていると説明すれば役の順番を飛ばしてもらえます。役は他の健康な人のところでぐるぐる回るようになります。
傷病手当金
うつ病になって会社を休職することになったときには健康保険組合から傷病手当金が受け取れます。病気になり、4日以上連続して欠勤した際、4日目以降に標準月額(直近12か月の標準的な給料を平均した額)の一日分の66%を受け取ることができます。
傷病手当金は、支給開始した日から最長で1年6か月受け取ることができます。2022年以降は、支給期間を通算し1年6か月を経過した時点まで支給されることになっています。
失業保険の優遇
うつ病で仕事を退職した場合以下のような優遇をうけることができます。
失業保険をもらうための求職活動の回数が少なくて済む
心身の不調等で退職に至った場合にはハローワークで就職活動をする際に、就職困難者に認定されます。就職困難者は通常4週間に2回以上求職活動を行う必要があるものを、求職活動が一回以上で済みます。
給付制限期間が不要になる可能性がある
心身の不調等で退職に至った場合にそれを客観的に説明できる場合、自己都合退職であっても3か月間の給付制限を経ずに失業手当を受領できます。
基本手当を受給できる日数が長い
就業困難者は、一般の方に比べて失業保険の所定給付日数が長く設定されています。
失業保険の給付日数は以下の通りです。
- 失業時の年齢が45歳未満で半年以上1年未満の雇用保険期間がある場合 150日
- 失業時の年齢が45歳未満で 1年以上の雇用保険期間がある場合 300日
- 失業時の年齢が45~64歳で半年以上1年未満の雇用保険期間がある場合 150日
- 失業時の年齢が45~64歳 1年以上の雇用保険期間がある場合 360日
つまりこの制度を活用すれば、
- 1年間働いて、300日or360日失業保険を貰う
を繰り返すことができ、労働にかける時間と手間をかなり抑えることが可能です。
障害年金
うつ病になって生活に一定の制限ある、或いは労働ができないといった状態になれば障害年金の支給を受けることができます。障害年金には、発症し、通院した初診の時に掛けていた年金が国民年金か厚生年金かによって障害基礎年金か障害厚生年金に分かれます。
障害基礎年金は1級と2級、障害厚生年金は1級、2級、3級と傷病手当金という一回限りの手当金があり、症状の重さ、日常生活の制約の状況により判定され、年金を受け取ることができます。
いろいろな手当
精神疾患で精神障害者健康福祉手帳を取得したり、重度の障害があると認められた場合には
地方自治体やいろいろな組織から手当が支給されることがあります。
生活保護を申請しやすくなる
生活保護を申請しようとするときには、役所から「働くことはできないのですか?」「働くことで今の状況を打開できませんか?」ということで、労働収入による状況打開を提案されます。もしうつ病を患っており、労働に制約が出ている場合は働くことが困難な状態である事を説明できるので、生活保護を申請しやすくなります。
心神喪失状態
刑事裁判で、もし犯行時に心神喪失状態や心神消耗状態であったと判断されれば責任能力がない或いは限定的であったとして刑罰が減免されることがあります。これは刑法39条の心身喪失者の行為は罰しないという条文が根拠です。
まとめ
本日はうつ病の疾病利得について解説しました。「どうしてこんな病気になってしまったんだろう」と落ち込み苦しい思いをされていると思います。本日はうつ病や精神疾患で苦労されている皆様に少しでも慰めになるかもしれないとおもいこのブログを書かせていただきました。
このブログがうつ病で苦しんでおられる方の希望になれば幸いです。