皆さんは付加年金という制度をご存知ですか?
付加年金とは、国民年金の保険料に追加で一定金額を払うことにより受け取れる金額を増額できる制度です。実はこれは元が取れるどころかかなりお得な制度です。
本日は、付加年金について解説します。
目次
付加年金とは
付加年金とは、国民年金の保険料に追加で付加保険料を追加で納付することにより、受領できる年金額を増やせる制度です。
付加保険料の金額
一個月に納入する付加保険料は一個月400円です(定額保険料は2020年では16,540円)。
付加年金は最大で20歳から60歳まで40年間納付することができます。ですから最大で400円×12か月×40年=192000円を追加で納付することになります。
将来付加保険料納付で受け取れる金額
40年間付加年金を納付した場合追加で受け取れる金額は年間96000円です。つまり、40年付加年金を納付すれば、たった2年で元が取れます。
付加年金を納付するメリット
付加年金のメリットを解説します。
2年で元が取れる
付加年金は上で説明した通り、納入した金額に対し2年で元が取れます。最も大きなメリットです。日本人の平均年齢は、80歳を超えていますので期待値は1以上です。
死亡一時金を受け取れる
付加年金を含む年金保険料を36か月以上納付した方が年金を受け取る前に亡くなって合、遺族は死亡一時金を受け取ることができます。付加年金を加入していた方では一律8500円を遺族がうけとることができます。
社会保険控除として、支払額が所得から控除できる
付加年金にて納付した金額は社会保険控除として、全額が所得から控除できます。
400円×12か月=4800円
が所得から控除できます。
付加年金制度を利用できる人
付加年金制度を利用できる人は、国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者です。これは、20歳以上の自営業、学生、無職のかたや海外居住者で国民年金を任意加入している方
が該当します。
付加年金制度を利用できない人
付加年金制度を利用できない人は以下の通りです。
- 国民年金保険料の免除、猶予を受けている人
- 65歳以上の国民年金任意加入者
- 国民年金基金に加入している人
- 第2号被保険者(会社員や公務員)
- 第3号被保険者(会社員や公務員に扶養される配偶者)
付加年金制度の注意点
付加年金制度は有利な制度ですが、注意点があります。以下にそれを説明します。
国民年金の受給資格に合格していなければ受け取ることができない
付加年金は国民年金に付帯するものですので、国民年金の受給資格を満たしていない方
(国民年金への加入期間が短い)は受け取ることができません。
国民年金と付加年金だけでは老後の生活費に不安が残る
国民年金に付加年金を追加したから安心というわけにはいきません。受給できる金額は増えるものの、それだけでは潤沢な老後生活費が入ってくることにはならないからです。小規模企業共済や個人年金、iDeCo併用し、老後資金を準備しましょう。
物価に応じて受給金額がスライドしない
老齢基礎年金は、物価スライドにより物価が上がれば受け取れる年金金額も増えます。またその反対もしかりです。ですが付加年金は物価スライドされないので、受け取れる金額は現行では年額96000円のままです。過去の経済と貨幣価値の推移をみると、物価は長期的にはインフレになる傾向があります。つまり付加年金はインフレリスクを抱えているということが言えます。
国民年金基金との併用ができない
自営業者が利用できる年金制度には国民年金の他に、国民年金基金というものがあります。国民年金基金は自身の年齢に応じた金額を支払うことで、将来の受取金をアップさせることができる年金制度ですが付加年金との併用ができません。もし将来受給する年金額を増やしたい場合は、国民年金基金のほうをお勧めします。
付加年金とは
まとめ
国民年金の付加年金は、自営業者にとって非常に魅力的な制度であり、非常にわかりやすい体系を持っています。加入は申し込んだ月からとなりますし、市町村の窓口で申し込むことができます。
国民年金は払ってももらえるかどうかわからないので払っていない、と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、国民年金という制度は国家の制度です。先進国である日本国の国が運用している年金制度以上の信頼性を持った運用制度は世界を見てもあまりないと思います。
もし、国民年金や付加年金が信用できないので掛け金を拠出したくないのであれば、それに代わる民間の金融商品や外国の運用制度で老後資金を準備するというのもない話では内ですが、実際のところ、国民年金を拠出しないことによるデメリットは相応にありますので注意が必要です。私は大学院生だったころも国民年金を掛けていました。
あまり知られておらず、学校でも教えてもらえない付加年金という制度ですが、受給開始後2年で元が取れるお得な制度です。興味があるかたは市町村の窓口で申し込みを相談してみてはいかがでしょうか。