先物取引をしている投資家の方の中には相場を読んでレバレッジをきかせ、莫大な利益を出している方も多いでしょう。
先物取引は証券会社や先物取扱い会社に証拠金を振り込み、対象となる指数や価格に対してレバレッジを利かせた売買をすることにより利益を得たり、リスクヘッジをするために生み出された金融商品です。
別の記事で先物取引を紹介したこともありますが、先物取引はリスクも大きい反面上手く使えば少ない資金で大きな利益を出したり、リスクをヘッジしたりと柔軟な売買ができます。
しかし先物取引も利益を出せば税金を払わなくてはいけませんが、先物取引は経費の計上が認められているため上手に経費を計上し課税対象額を減らすことができれば税金を低く抑えることができます。
今回は先物取引の経費について解説します。
目次
先物取引とは
先物取引とは将来の売買について現時点で約束する取引のことを言います。先物取引は証拠金を使いレバレッジを利かせて売買を行うため、買い建て、売り立ての両方のポジションをとることができます。
先物取引の売買は最終期限までに決済する契約になっており期限が来れば強制的に決済が行われますが、投資家は決済前の好きな時に反対売買を行うことでポジションを決済することができます。
先物取引は売買の価格を固定できるため自身が取り扱う現物価格の将来価格の不確実性を回避できるヘッジとして利用できるだけでなく、価格変動と高いレバレッジを生かして投機としても活用できます。
先物取引の税金
先物取引の税金は正確には「先物取引に係る雑所得等の金額」という区分で申告分離課税となります。先物取引の税率は20.315%です。先物取引の税率は同じく証拠金取引を行う外国為替証拠金取引、いわゆる外貨FXにも適用されます。
経費とは
経費とは、事業活動で利益を得るために費やした費用のことを言います。どこまでが経費でどこまでが経費ではないかについては明確な線引きはありません。
事業活動に費やしたか、利益を発生するために費やすものでるかを説明できるかどうか、が経費か経費ではないかの分かれ目であり、その解釈は非常に主観的であいまいなものです。
先物取引で計上できる可能性がある経費
先物取引で計上できる経費には以下のようなものがあります。
売買手数料
先物取引の経費として最初に挙げられるものは売買手数料です。
インターネット通信費
先物取引を電話注文で行う人は現実的にはほとんどいません。ほとんどの方はネット証券やネット専業先物会社でのトレードを行います。
その際のインターネットプロバイダ料金とデータ量は先物取引を行うために必須のものですから通信費として計上して問題ないものと考えられます。ただし先物取引以外にも利用している場合にはそれを按分し先物取引に費やした割合だけを経費とする必要があります。
電話料金
先物取引に関して利用した電話料金は経緯として計上できます。
パソコン購入費
先物取引はパソコンで行うことが多いです。理由は大きな画面でチャートを見ながら取引をする必要があるためです。もし先物取引専用のパソコンを保有しているのであれば全額が経費として計上できます。
プライベートでも使用しているパソコンであれば使用比率に応じて按分を行い先物取引に使用している部分を経費として計上します。
10万円未満のパソコンは消耗品として一括で経費として計上できますが、10万円以上のパソコンは減価償却資産として扱い、耐用年数を4年として分割して経費に計上します。
スマホとタブレット
先物取引はパソコンだけではなくタブレットやスマホでも行うことができます。10万円未満のスマホ、タブレットは消耗品として経費計上できます。
10万円以上の機器も減価償却により経費に計上できます。こちらも先物取引に使用する割合を按分し先物取引にかかわる分だけを按分し計上する必要があります。
ソフトウェア代
先物取引を行うためのソフトウェア、確定申告をするためのソフト等の費用は経費として計上可能です。
パソコン周りの機材費
パソコン周りの機材、例えばディスプレイ、マウス、キーボードです。特に先物取引やFXを行うトレーダーはマルチディスプレイを使う方が多いです。
理由は数種類のチャートを同時に見る必要があること、タイムリーなニュースを確認する必要があること操作する画面が必要なこと、そしてこれらを同時に確認したいからです。
インターネットをするだけならマルチディスプレイは必須ではないため、経費として合理的な説明ができます。他にもWIFIルーターやコード、周辺機器も必要なものであれば消耗品として経費として計上できます。
新聞と書籍代
先物取引で利益を上げ続けるには経験も必要ですが知識も必要です。また絶え間ない情報収集が欠かせません。よって先物取引の専門知識書を購入したり、関連書籍、新聞等は先物取引を行う際の経費に該当します。
情報収集のための書籍代と言っても新聞の一般紙などは先物取引の経費とするのは難しいと思います。有料で契約する相場上場やニュース等専門性の高いものの情報料は経費として計上できます。
セミナーの講習費
先物取引を学ぶセミナーを受講したり、講習会に参加する際の費用は経費となります。
領収証など費用の明細がわかる証憑をもらっておきましょう。
文房具や事務用品
先物取引をする際に必要な事務用品は経費となります。ボールペンや筆記用具、印刷物を処理するシュレッダー、ノートやデスク、印刷紙、プリンターインク等収益を得るために必要とした一切のものが消耗品として計上できます。
執務室の家賃
先物取引をするために賃貸物件を借り、そこを先物取引専用にしている場合、家賃は経費ととなります。賃貸物件の一部を先物取引専用に使用している場合は住居の面積から按分し合理的な面積を割り出し按分して申告する必要があります。
電気代
先物取引をするにはパソコンやスマホが必要です。それを起動させるには電気が必要なので電気代は経費として計上できます。
但し先物取引に関する電気代として計上するためには家事按分が必要ですので合理的な比率で按分を行ってください。
会議費
先物取引に必要な打ち合わせにかかる飲食費は会議として計上できます。カフェで先物取引をすることもあるでしょう。その際のコーヒー代は会議費になります。また、先物取引の情報交換として行った飲食で一人当たり1万円に満たないものも会議費として計上できます。
交際費
先物取引の情報交換のために食事をする際にはこの費用は交際費として経費計上できます。
交通費
先物取引の情報交換で一人1万円を超える食事代が発生した際には交際費として経費を計上できます。
執務スペースの清掃費用
先物取引用のスペースを借りて先物取引を行っている場合や自宅の一部を先物取引専用に使用している場合、その執務スペースの清掃費用は衛生管理費として経費計上できます。
会社のビルを清掃業者が掃除をしている際の費用と同じと考えてください。
掃除用具やごみ袋
掃除やごみを処理をするのは衛生的な環境を維持するために必要です。これにかかわる費用は衛生管理費として計上します。掃除器やほうき、消毒用アルコール、空気清浄機等がこれに該当します。
融資の利息
先物取引を行うために借入れを受け利息が発生する場合には利息は経費計上できます。支払利息という勘定項目で処理します。
先物取引はレバレッジがかかっているため、元手を借入金でまかなうのはお勧めしませんが、借り入れによって利息が発生する場合もあり得ます。
先物取引の経費に関して注意するべきこと
先物取引の経費について注意するべきことがあります。ここではそれらを説明します。先物取引の経費で注意するべきことは以下の通りです。
経費は持ち越せない
経費はその年に支払ったものしか計上することができないことを覚えておきましょう。前年に支払った費用をその次の年の経費にすることはできません。経費計上を行う際はその年に計上するようにしてください。
損失は3年間繰越できる
先物取引は分離課税として3年間の損失繰り越しができます。先物取引で損失が出た場合、確定申告してその損失額を申告しておけば以降3年間の利益と相殺をすることができます。
損失繰り越しを行うには必ず確定申告で損失額を申告しておく必要がありますので忘れないようにしてください。
領収証は必ず保管する
経費の最終判断は税務署が行いますが、経費に計上するかどうかは個人の判断となります。自身が経費と認識し計上する費用については必ず領収書や証憑を残しておきましょう。
家事使用分は按分が必要
パソコンやスマホ、通信費などで先物以外でも使う分がある場合、先物とそれ以外の使用分を合理的な比率で按分する必要があります。合理的な比率で按分する必要があるのでそこは税理士などと相談して進めてください。
先物取引の経費のまとめ
今回は先物取引の経費ついて解説しました。先物取引の経費の概念はFXと同じです。投資家というもの、利益が出たらできるだけ税金を少なくして再投資に回したいと思うものです。
経費をしっかり計上し、課税される利益を少なくして次なる投資への原資をしっかり確保していきましょう。このブログが皆様の先物取引の参考になれば幸いです。