皆さんはSPYDという投資商品を聞いたことはあるでしょうか。SPYDとは最近とくに個人投資家から人気を集めているETF(上場投資信託)です。SPYDは上場する米国企業の中で高配当銘柄を集めたETFで、インカムゲインを重視する投資家に注目されている上場投資信託です。
歴史的に上昇傾向が続いている米国の優良企業に投資しつつ配当の恩恵を受けたいと言う方にとってはとても魅力的な投資対象です。
本日はSPYDに投資するメリットや注意点などについて解説します。
目次
SPYDとは

SPYDはステートストリート社が運用する「SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF」を省略した名称で、日本ではSPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETFのことです。
SPYDを運用するのは、ステートストリート(State Street)社です。ステートストリートは世界3大運用会社の一角(ブラックロック、バンガード、ステートストリート)です。
SPYDの投資先

SPYDが投資している投資先はS&Pの構成銘柄の中でも配当利回りが高い80銘柄です。S&Pの高配当銘柄といえば、金融・不動産・公益事業系となりますので投資先はこれらを中心に構成されています。
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SPYDの銘柄の構成比率

SPYDが投資する銘柄の業種別構成比率は以下の通りです。
- 金融 17%
- 公益事業 17%
- 不動産 16%
- エネルギー 11%
- 生活必需品 8%
- 素材 6%
- 機械技術 6%
- コミュニケーションサービス 6%
- ヘルスケア 6%
- 一般消費財 3%
業種に偏りはありますが、この理由はS&P500から高配当銘柄を80社抽出した結果です。
不動産業、金融業の比率が高いことから市場金利の影響や景気変動を比較的受けやすいETFと言えます。また配当利回りの高い割安株が上位を占めていることも特徴です。
SPYDの分配スケジュール

SPYDの配当は年4回(3月、6月、9月、12月)です。
SPYDのメリット

ここではSPYDのメリットを紹介します。
配当利回りが高い
SPYDは高配当利回り銘柄を集めているためS&P500の平均と比べて高い配当利回りが特徴です。配当は4%を超える状況が普通です。東証一部上場企業の平均利回りは2%程度ですから資産運用としては有望な選択肢となり得ます。
分散投資になる
SPYDはS&P500のうちの高配当の80銘柄へ投資するETFです。これらの80銘柄へは均等に投資をするように資産配置の調整を行っています。運用資産を80分の1づつに分割し、銘柄に投資するというスタイルです。銘柄の比率は半年に一度リバランスが行われ、上昇した銘柄を売却しするなどウェイトを調整しています。
SPYDを買うだけで銘柄の偏りなく高配当株に分散投資が行うことができます。
コストが安い
SPYDに投資するメリットは運用コストの安さです。
SPYDの信託報酬は年率0.07%ですので100万円をSPYDに投資したとしても年間に必要な手数料はわずか700円です。これは信託報酬が0.5%程度かかる一般的なETFと比べて非常に安い管理費です。
ETFでパフォーマンスを上げるには保有期間中の運用コストをどれだけ抑えるかがポイントとなります。長期投資をするのであれば信託報酬は運用成績に大きな影響を与えるからです。SPYDのように経理比率の低いETFを選び運用することにより経費による資産価値の減衰を抑えることができます。
SPYDのデメリット

SYPDのデメリット、注意点についても述べます。SYPDのデメリット、注意点は以下の通りです。
景気変動の影響を受けやすい
SYYDの運用先には景気敏感株が多く設定されています。投資比率が高い不動産業や金融業の業績や株価は景気変動の影響を受けやすいことから景気が悪くなると基準価格が大きく下がるというデメリットがあります。
景気が悪化すると投資先の業績が悪化し、配当が少なくなります。これに連動してSPYDの基準価格も下がることになります。逆に景気が悪くなったり、恐怖指数が上昇したことにより基準価格が下がりやすいという特性を知っておくことで、このような場合にはSPYDを仕込むという戦略をあらかじめ準備しておけるというメリットがあります。
投資の基礎は、「安いときに買ったものを高いときに売り抜ける」につきます。
為替リスクを受ける
他の外国ETFと同様にSPYDも為替リスクを受けます。円安の時に買ったSPYDは円安になると円換算あたりの基準価格が下がってしまいます。SPYDを買うタイミングとしては景気変動によりSPYDの基準価格が低下し、なおかつ円高の時、と考えておきましょう。
成長性が低い
SPYDが投資対象とする企業は成熟し、キャッシュフローを配当として株主に還元することを標榜する企業、または株式が割安に放置され配当利回りが高くなっている企業です。これらは配当利回りが高いことは魅力ですが、その分市場から成長性を評価されていない銘柄になります。
SPYDでは株価があがり配当利回りが低下した銘柄は売却され配当利回りがより高い銘柄を買うというリバランスを行います。よって株価が長期的に上昇する株式が組み込まれないため、SPYD自体の基準価格の成長性は低いものになります。SPYD自体でキャピタルゲインを狙うという投資方法には向かないETFです。
ファンド自体の歴史が浅い
SPYDは2015年に設定されたETFで運用してからまだ日が浅いファンドです。歴史が浅く運用期間が短いため、保守的な投資家からは敬遠される傾向があることは事実です。歴史の浅さは今後の運用実績により解消されていくものと見ています。
SYPDについてのまとめ

本日は米国の高配当銘柄を中心に投資するSPYDというETFについて紹介しました。
- SPYDは高配当で経費率が低いところがメリット
- 景気の変動に弱いというデメリットがある
- キャピタルゲインは期待できない
等の特徴を解説しました。インカムゲインを重視し、配当収入を増やしたい方、FIREを早めに達成したい方にとっては有力な投資候補となります。何らかの外部要因で投資環境が悪化したタイミングで仕込み、長期的にホールドして配当を享受するというスタイルで投資してみてはいかがでしょうか。
このブログが皆様の株式投資の参考になれば幸いです。
